表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1600/2712

1611 校内三分の計編 221

(日鞠は何も言わないな)


 クリスが作り出した日鞠にはこれ以上無理させちゃいけないって流れをどうにかしようと日鞠が動くかと思ってたが……日鞠は動かない。てもそれは無理もない。


 今の流れで日鞠が「私は大丈夫」とか言っても、それは皆には「無理してる」ととらえられるのだ。実際僕たちの様な凡人からしたら、日鞠の仕事量ってたぶんおかしいからな。

 もちろん日鞠はそれでも自分の中では無理してない範囲で毎日活動してるだろう。この一年、日鞠は病気らしい病気とかしてないし、それが証拠だと思う。

 でもそれを知ってる奴はたぶん生徒会以外にはいない。だって日鞠は学校に来ない日がそれなりにあるしね。クリスにはまだ手があるんだ。ちょっと一言『日鞠だって病気とかあるかもですし~」とか匂わせるだけで、皆その可能性に気づくだろう。


 そうなると慕われてる日鞠だから、皆もちろん心配して後悔するだろう。日鞠が学校に来ない日は皆、日鞠がなにかしら学校の為、自分たちの為に動いてるんだと信じて疑ってない。

 でも皆、その内容なんてしらないから、実は来てない日には病欠もあったんじゃないかって毒を一適垂らせば、それは瞬く間に広がるだろう。

ぞれは確かめる術何なんてないし、日鞠が否定しても生徒たちはそれを信じはしない。それこそ人望があるからこそ……ね。


 皆日鞠の事だから「自分たちの為にそういってる」――と解釈する。日鞠は人心を掌握するのがうまい。日鞠は他人から信頼を勝ち取れる奴だ。僕と違ってね。

 けどそれが裏目……というかなんというか、悪い方向に作用してる。皆が日鞠を信頼して、頼りにしてる――それは変わらないから、皆が善意で日鞠を心配してる状況になってる。


 こうなると、日鞠は何も言えないな。否定しても意味はないし、肯定しても……まあけど……この戦略には問題もある。だからあるとするならば……日鞠はそこを突くしかないが……そして日鞠がそれに気づいてないって事はない。

 なにせ僕が気づいてる事に日鞠が気づかないわけがないからだ。


「クリスちゃんはなんでも大袈裟に言い過ぎだよ」

「そうですか? せっかくの大きな舞台デス。ちゃんと皆には知ってほしかったんデス」

「そうだね。皆は学校の生徒達だからそれを知る権利はあると思う」

「そうデス。ちゃんと知って、選んでもらいましょう!」


 テンション高くそういうクリス。日鞠の隣の代表応援者の女の子はとてもおろおろとしてる。会長が不利になってるからだろう。けどとうの会長である日鞠には動揺はみられない。

 まあそういうのを見せるやつじゃないけど……


「所で、それだけ言ったんだからクリスちゃんも私のお手伝いしてくれるのかな?」


 やっぱりそこを突いてきたな。クリスの支持層は崩壊してるといって過言じゃない。日鞠は痛い所を突かれたが、結局は受け皿がないと、日鞠の票は流れない。というか流れようがない。

 だからこそ、日鞠はそれができるの? と言ってきたんだ。そして事実としてクリスは会長になる気はないだろうし、なれないだろう。こいつは某国の諜報員だ。

 流石に会長という役職なんかにつく気はきっとない。だからこそ、日鞠の票の受け皿にはなりえない。それは日鞠だって知ってる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ