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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1598 校内三分の計編 208

「摂理、私は裏切った訳じゃないデスよ。それに応援してないわけでもない。けど、私は摂理とも日鞠とも友達デス。だからどっちも幸せになってほしいデス。なのでどっちも応援してます」


 おい……なんという都合のいいことを……どっちも応援してるなんて都合のいい言葉でしかない。だって僕は一人しかいないんだ。僕がどっちかと付き合えば、もう一人は無理なわけで……どっちも幸せなんて不可能だ。

 それなのにこいつはいけしゃあしゃあと……よくそんな事がいえるな。


「二人とも幸せなんて……そんなの……」


 そういって摂理が僕を見る。多分同じような事を考えてるんだろう。猟奇的な事じゃないよね? いやいや、摂理はそんな子じゃない。僕を半分に割っても二人にはならないからね。うん、それは常識な筈だ。


「そうですね。奇麗ごとなのかもしれません」


 まさかクリスの奴が認めやがった。ここはあれこれ言い訳をするのかと思ってたんだけど……何企んでるんだ? だってこいつが殊勝なのって不気味でしかない。


「ならなんで……こんなの辛いだけだよ……」


 今日は選挙の事でもっとわいやわいやとするのかと思ってたが、なんか既にお通夜みたいな雰囲気に……この責任をクリスはどうとるんだよ? てか本当に全部お前のせいだからな。

 なにせ僕がここにいなければ、こんな話する必要もなかったし、僕がまだあまつさえ日鞠の隣にいれば、摂理だって「しょうがない……だって二人はカップルだから」とか諦めがついたかもしれない。


 なのに、わざわざ僕をつれてきて自分の隣に座らせて、「それいいの?」的な事をやっちゃうからこんなおかしなことになるんだ。


「辛いよね。私も辛いデスよ!」


 逆切れ!? なんでそんなにいきなり声を張るんだよ。クリスの声は力があるのかやけにはっきり聞こえるんだよな。まあきれいな声をしてるってことだと思う。でもだから余計にビビった。


「本当に私だって、二人とも幸せにしたいデス。でも同時には無理ですから、妥協点を探したんデス。まあスオウが二人いるとか、とっちかが別の誰かを好きになるとかなると一番ですけど」

「ありえません」

「そんなの……無理だよ」


 なんか日鞠と摂理がクリスの言葉を聞いて僕を見てそういった。うれしいけどさ……コメント欄を見るのが怖い。絶対に嫉妬に満ちたコメントがあふれてるよね。てかほとんどの奴はどうして二人が僕にそんなに執着するのかわかんないだろう。


(だって僕もわかんないし)


 いや、よしんば日鞠はわかる。なにせ幼馴染だし、ずっと一緒にいたからだ。でも摂理はまだ出会って一年も経ってない。もちろん一年以上の濃密な時間を過ごしたと思ってるけど……一応命をかけたわけだし……やっぱりそれが原因か? 


「実際、どうなるかなんて自分自身でもわかんない物デス。けど気持ちが今この場で変わるようなことでもないのも知ってるデス。だから、ここはまずは日鞠と付き合って、そのうち摂理とも付き合ったらいいデス。どっちにもお試し期間を作るんデス」

「つまり今の私とスオウの交際期間はお試しですか?」

「イエス!」


 超いい笑顔でとんでもないことをいってるぞ。やっぱり僕よりもこいつがヘイトを向けられるべきだとマジで思う。

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