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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1594 校内三分の計編 204

「すみませんけど――」


 意を決したように、この場に凛とした声が放たれた。それはうつむいた摂理の隣にいる鈴鹿が放った言葉だ。鈴鹿だってこういう場は慣れてないはず。実際、言葉を発したのはいいけど、先がなかなか紡げないようで、口を開いてはただ空気が吐き出されてるだけの時間が続く。

 それでも声を発した鈴鹿をカメラは抜いてる。


「なんで今ここでそんな事を言ったんですか? 貴女は……ひどい人です会長。それにクリス貴女も。そして貴方もよスオウ」


 キッと強い視線が僕たちを射抜く。まさかこの学校で、こうまで堂々と日鞠を批判する奴がいるとは驚きだ。でもまあ鈴鹿らしいとは思う。なにせ鈴鹿は誰かに併合するような奴ではない。


 いつも一人でいたし、それで何か惨めそうだったかと言えば……全然そんなことはなかった。「それが何か?」って感じで、孤高を貫いてたし、姿勢よく本を読む姿とか美しかったし。


 僕は教室に同じような奴がいるなってちょっと支えになってたところもある。なにせ僕は嫌われ者だ。日鞠との関係があったから元からそうだったけどさ、でも今や摂理やクリスとかの関係でもますますそうだよ。それでも同じような存在がいると思うと勝手に仲間意識を向けてたのだ。


 まあ結局鈴鹿にも嫌われてるようだけど……てか僕は何も言ってないが……いや、鈴鹿はこの場に僕がいる時点それが気に食わないんだろう。ましてや僕はクリスと共にいる。これが日鞠と共に出てるんなら、ここまでゴミを見るような眼は向けられなかったかもしれない。


「こんな場所で……そんな……摂理の気持ちを考えないんですか? そういう人とは思いませんでしたよ会長」


 日鞠はなかなかに聖人君子として名が通ってる所があるからな。不良が気まぐれで捨て猫拾ったりしてたら好感度爆上がりするのとは逆で、日鞠みたいな普段から立派にしてる奴ほどにふとしたそっけない対応で不快に取られるっていうね。なかなかにままならない社会してる。

 けど今回は流石にそうではないと思うが。確かにここでそれを言う必要があったかと言われると……そうじゃないだろうし。


「そうだね。それはいわれても仕方ないと思う。でも……ね。私はここで終わったなんておもってないからだよ。決着がついた――なんて思ってないよ。そして私は摂理ちゃんが怖いもん」

「はい? 怖い? ですか? 会長が?」


 眼鏡の奥の瞳を鋭くしてた鈴鹿が驚いてその瞳を丸めてる。でもその反応は当然かもしれない。だってここの生徒たちは日鞠が完璧超人だと思ってるからな。なにせできない事なんてないって本気で思ってそうだ。

 鈴鹿だってそこまでひどくはないけど、ちゃんと日鞠のことは認めてた。だからこそ――の反応だろう。日鞠が摂理を怖いといった――それがびっくりなんだ。まあ僕もだけど……そう思ってると日鞠はさも当然で公然の事実を言うよ。


「だって、摂理ちゃんは私より可愛いし、奇麗だもん」


 

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