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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1588 校内三分の計編 198

「ふぁーあ」


 俺は眠りから覚めてベッドの中でそんな大きなあくびをした。既に太陽は上ってて、カーテンの隙間から朝の木漏れ日が入ってきてる。


「えっと……もう九時半くらいか。もうひと眠りくらいできるな」


 俺はそう思って、スマホの画面を消して再びベッドにもぐりこむ。なにせ昨日も夜は勉強をしてた。寝れるときに寝とかないと、体が参ってしまう。しかも最近はちゃんと授業だって真剣に聞いてるんだ。今までも別に寝るとかはしてなかったが、ちゃんとノートをとってたかと言えば、そうじゃない。

 俺は自慢じゃないが、スオウに比べれば友達が多いし、顔も広い。それは男女問わずだ。寧ろスオウの奴は男女問わずに敵が多いからむしろ感心してしまう。

 まあ大体日鞠関連のせいだが……最近は摂理とクリスとの関係でも敵が多くなったから大変だ。めっちゃ他人事だが。まあ俺はスオウの奴とは違ってもっとうまく人生を送ってたということだ。

 でもそれだけでは足りない。俺が目指してる……いや、目指さないといけない場所はもっと高いところになってしまった。そしてそれを自分が本気で欲してるからこそ、妥協なんてできない。


 だから休日くらいはゆっくりと体と頭を休める日だ。この至福の時間を邪魔することは誰もできない。だから母ちゃんが下から「さっさと起きなさい!」とか叫んでてても俺にはきかない。

 ちゃんと勉強して成績だって上がってるんだから、些細な事で文句を言わないでほしい。前はもっと勉強しろってうるさかったじゃないか。なのに勉強してたら、無理するな――とか意味がわからん。

 そこら辺一貫してないから反発心がわくんだ。大人はちゃんとわかってほしいものだ。とりあえず母ちゃんの声をかき消すためにも、スマホから音楽を鳴らす。すると今度は丁度よく……いやこの場合は悪くか、電話が鳴った。


「こんな朝から誰だよ……」


 常識って奴をしらないのか? とか思ってスマホの画面を見ると、マイスイートハニーの写真が出てた。俺は躊躇なく自分の顔をひっぱたいてシャキッとして電話に出た。


「はいもしもし」

『もしもし、秋君起きてましてたか?』

「もちろん。ちょっと運動して気持ちいい汗をかいてたところだよ」


 まあ実際は寝汗だけど……彼女には男として格好悪いところなんて見せられないからな。これは男の矜持というものだ。


『そうですかよかった。休日だからってだらだらしてるのかと思ってましたよ』

「ははは、俺をそんな意志の弱いような奴みたいにいうなよ」

『そうですね。秋君は頑張ってますね。そんな秋君はあとちょっとで始まる大切な事をおぼえてますか?」

「もちろん」


 やっべ、なんだっけ? 今日は別に二人で特別な用事はなかったはず。勉強会だって、今日は休みだったし……


『では迎えを送ってますから家で一緒に鑑賞しましょう。とっても楽しみですね』

「そうだな。うん、楽しみだ」


 今日も愛に会えるなんて幸運だ。俺はそう思って急いで支度をするために下におりた。


「あんたねえ、いきなり下りてきて何よ」


 バタバタと活動しだした俺に母ちゃんがあきれてる。けどそんなのはどうでもいい。今は愛の家にふさわしい格好を一秒でも早く完成させることが大切だ。とりあえずシャワーを浴びて、髭とか大丈夫か確認して、歯磨きに、洗顔に乳液に、肌のお手入れは重要だ。それに髪型。清潔感が大事だからな。


 そうやってなんとか用意を済ませて、高級車の迎えで愛の家へといった。勉強もせずに、今日はきっと甘い一日を過ごすんだろうなって思ってた俺に愛はいう。


「じゃあそのテレビに映像を映してください」

「ああ、映画とか? どれにする?」

「なにいってるんです秋君? 今日は君の学校の生徒会長選挙のディベートでしょう。あの学校の生徒と関係者しか見れないんだからここまで呼んだんですよ」

「ああ、うんしってるしってる。ちょっとしたジョークだよ」


 くっそ、完全に忘れてた!! そういやそんなのあったな。せっかくいい感じの恋愛映画でも二人でみてその後……とか期待したのに!! 

 まあけど、ディベートなんて口実でいい。二人で近くにいれば恋人同士ならいつの間にか甘い雰囲気に……となるはずだ。俺はそう思いつつアプリを立ち上げてトップにあるライブのリンクをタップしてテレビにキャストした。


 映像には今まさに始まろうとして中、生徒会長立候補者とその応援者の代表がそれぞれの席についてた。まあ知り合いが多い選挙だから、今更驚きなんて――


「なんでスオウがいるんだよ? それにクリス側で」


 ――あいつまた面白いことやってんな――と思った。

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