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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1586 校内三分の計編 196

「諦め悪いデスよスオウ」

「お前、最初からこのために連れてきたな」


 クリスの奴が断固拒否してる僕のところにきた。こいつはもともとそのつもりだったんだろうが、僕は了承した覚えはないぞ。


「知ってるかと思ってました」


 あっけらかんとそんな風に言いやがるクリス。僕に何も言ってないくせによくそんな事を言えるな。クリスはお詫びのつもりなのか、自販機で買ってきた缶を僕に差し出してる。


「そっちがいい」

「ああ、ちょっと待ってくださいデス」


 クリスは僕にコーヒーを差し入れてきたけど、今の気分はジュースなんだよ。とか思ってる間に、なぜか開けて一口つけてよこしてきた。


「はい」

「いやまて。なんで飲んだ? そのまま渡せよ」


 一回口つけてるじゃん。それを差し出す神経が分からん。何やってくれてんの? もう飲んだから渡さない−−ならまだわかる。なんで飲んで渡すの? アホなのかこいつ。


「いや、私が口つけた奴が欲しいのかなって?」

「僕はそんな特殊な性癖してねーよ」


 どんな目でこいつは僕のことを見てるわけ? 普通のを渡せよ。ここで僕がこれを受け取ったら日の出ジャーナルがスクープとして出すじゃん。

 見出しは−−


『早速浮気か!? 間接キスの現場を激写!!』


 −−とかだろうか? もう僕、この学校にいられないよ。袋叩きに絶対にあう。なにこいつ、僕を社会的に殺したいの? 


「もうそっちでいいや」

「じゃあ−−」

「するなよ!」


 僕はバシッとコーヒーを取り上げる。危ない危ない僕が飲める奴がなくなるところだった。


「あーあ、せっかくいい写真取れそうだったのに」


 いつの間にこの人カメラ取り出してるんだよ? 油断も隙もあったもんじゃない。日の出ジャーナル関係者のその人はコンパクトなデジタルカメラを構えてる。åグルか? グルなのか? 


「ハハハハ、大丈夫、悪いようには書かないよ。それに僕は記事にはほとんど触れてないからね。日の出ジャーナルはあくまで学生主体。僕はただ見守ってるだけだ」


 そう言ってるが、そのまま信じるわけない。面白いことはなるべく記事にしていくのがマスコミという奴らだ。


「全く信じられませんけどね。なんでこんな朝から疲れなきゃいけないんですか」


 僕はそう言ってゴクゴクとコーヒーを飲む。


「飲みましたね」

「ん?」

「じゃあ交換条件デス」

「いや、おかしいだろ?」

「よし、じゃあ女の子にパシリを頼んだ瞬間って事で、この写真を個人的にアップをしよう」

「おーい」


 こいつらやっぱりグルじゃねーか。真実はここにいる人たちしか知らないわけでそして数は向こうが多い。僕がいくら主張しても、僕なんかの言葉よりもクリスやこの人の主張の方が通る可能性は高い。


 なんて……なんてクソッタレな社会なんだ。


「スオウ、一緒に出てくれますよね?」


 その笑顔はめっちゃいい笑顔だった。殴りたくなるほどに……な。

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