1579 校内三分の計編 189
私は鈴鹿ちゃんの家にお邪魔してご飯を食べて、つまらないテレビを見てた。はっきり言って、めっちゃお世話させてる。だって私は歩けないからね。鈴鹿ちゃんの家に来て、私はずっとリビングのソファーから動いてない。
鈴鹿ちゃんちは一軒家とかじゃなく、アパートだ。団地っていうんだっけ? そういう同じような建物群の一棟の更に小さな一室が居住区だからね。なんと私の車いすも限界で立ち往生したからね。
こんな狭い……というのは失礼だけど、こういう家もあるんだなって思った。病院も窮屈だとは思ってたけど、私の病室はずっと個室だったから、実は広かったみたいだ。
それにスオウの家も全然狭くないんだね。
目の前で、くだらないクイズ番組がやってる。私はそれをぼーと見てる。晩御飯はウーバーイーツで頼んだ。さすがに食事代は出したよ。それでちょっと高級な処のご飯を頼んだのだ。それはおいしくてよかった。今は鈴鹿ちゃんがお風呂を用意してくれてる。
でもスオウの家じゃないからね。スオウの家は私が一緒に住むってなったときに、色々と私が不便無いように改修したのだ。だからお風呂だって独りで入れるようになってる。
けど、ここはそうじゃないからね。きっと二人で入ることになるだろう。それってちょっと恥ずかしい。けど、興味もある。友達っぽいというか……鈴鹿ちゃんの裸にも興味ある。
実際、鈴鹿ちゃんって案外……と思ってるし。私は自分が美少女だとわかってるけど、どこか体に変な箇所があるかも? そんなことはないと思ってるけど、なんか気になるじゃん。
「ふっ、Bだね。……Aじゃん」
一人でテレビに対して、そんな事を言ってると、手を拭き拭きしながら鈴鹿ちゃんがもどってきた。彼女は私を一瞥すると、キッチンの方の椅子をずらしてそこに座って、テーブルに置いてあった本をとる。この子、さっきからこうだよ。
来客を楽しませようとする気が全くない。いや、私が押し掛けただけなんだけどね。そりゃあ鈴鹿ちゃんにとっては私はただの厄介者かもしれないよ。でも……そんな風に思われるのは悲しい。
私は目を潤ませて鈴鹿ちゃんを見つめる。すると視線に耐えられなくなったのか、鈴鹿ちゃんが「はあ」とかため息ついてこっちにきた。
「なに?」
「もっと近くにいたいなーって」
「私はあの男の代わりにはならないわよ」
「そう……いうんじゃないよ」
もうなんでそんなはっきりと言いにくい事をいうかな? そういう所だよ。そういう所が女子に嫌われるんだよ。私はこういうはっきり言ってくれる鈴鹿ちゃんが好ましいと思ってるけどさ。でも今の私のメンタルにはグサッと来たよ。
「何か飲む?」
「ジュースがいいな」
「贅沢な」
私の図々しいお願いでも鈴鹿ちゃんはちゃんと聞いてくれてオレンジジュースを出してくれた。小さな缶の奴だ。けど私の非力さでは開けられなかった。プルタブがねプルプルする。だから鈴鹿ちゃんに開けてもらおうとしたんだけど、鈴鹿ちゃんは深く常を切るタイプらしく、プルタブを持ち上げることが出来なかった。お手あげである。