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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1576 校内三分の計編 186

 僕と日鞠はちょっと遠出していつもの場所から、電車を乗り継いで都会の街まできてた。

 一旦家に帰り、それからまた二人で待ち合わせして家の前から二人で歩いた。

 家の中には摂理のやつはいなかった。まあまだ放課後になったばかりだったしな。きっと選挙活動してるんだろう。摂理の陣営はそんな派手なことをやってなかったから、きっと気づかなかっただけだ。取り敢えずどのくらいで帰ってくるかわからないし、どうせなら、夕食も外で食べるのもいいかもしれない。というわけで、もう一回外に出る前に、僕は置き手紙をしてた。


 おばあさんが夕食を作ってくれることになってるからな。余計に作ってしまうのも勿体無いし、ちゃんと連絡しといた方がいいだろう。


 それから久しぶりに他所行きの日鞠の格好を見たけど……うん、普通に可愛かった。日鞠って大体制服だからな。休日でも色々となんかやって出かけたり、それこそ平日は学校に来なかったする分休日は学校に行ってるのか制服なことが多い。

 それにきっと生徒会長として動いてるからだと思うが、学生らしく制服を見に纏ってるんだろう。しかも最近はそんなにリアルでは日鞠と接触してなかった……というのもあると思う。


 久々にガチの日鞠の他所行きの格好を見た。ちょっと前までは僕に見せるために新鮮な格好をしてたんだけどな。そういうのもそういえばめっきり無くなってた。


 だからだと思う。なんか電車に揺られてる間とか、ずっと日鞠を見てた。いつもなら手持ち無沙汰だから外の景色に目をやるわけだけど、なんかずっと日鞠を見てしまう。


「どうしたの?」

「いや、その……似合ってるなって」

「そう言ってくれたのは初めてだね」

「ええ? そんなことはないだろ?」

「あるよー、スオウいつも前は『あーはいはい』とかしか言ってくれなかったし」

「そうだったっけ?」

「そうだったよ。けど、ありがとう」


 そう言ってニコッと笑った日鞠を見ると、なんか胸がぎゅっとなった。それになんか鼓動も早い。日鞠がとても近くて、匂いとかして……そして電車が揺れるたびに少し触れる手がめっちゃ敏感で……


(も、持たないかも……)


 と思って僕はちょっとだけ、そう一歩だけ日鞠から距離をとる。けどするとすぐに日鞠が一歩を詰めてきた。そして離さないようにちゃんと僕の手を握る。


 温もりが、手だけじゃなく全身に広がるかのような感覚。こんな公衆の面前で恥ずかしいとかさ……色々と言いたいことはある。けど、僕は満足そうな日鞠の顔を見ると何も言えなくなった。

 ただ離さないように僕自身も日鞠の手を強く握ったんだ。

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