1524 校内三分の計編 174
「あんまり変なことは教えないようにってオウラさんに言われてるはずだけど?」
「だってあいつらが色々とうるさいから。それに実際、嘘かとうかはわからなくない? この世界、色々と謎があるし、そういう要素があってもおかしくない」
「さすがにないでしょ」
ただキスしたら何かの制限が解除されるとか……そんなの……
「てか倫理システムがそういうの阻んでるでしょ」
握手とかはできるけど、性的な行為とかはちゃんと制限されてたはずだ。キスがそれにあたるかどうかはわからないけど……検証してる人がいるのかな?
「NPCとならできるみたいよ」
「え? そうなの? ってなんでそれ知ってるの?」
「それは……まあちょっと」
「え? え?」
なんかメカブちゃんが大人の階段を上ってる!! これは事件だよ。いつもわけわからないことを口走っては周りをドン引きさせてるから、誰もまともに相手にしてないと思ってたのに……いつの間にそんな逢瀬を? 相手は誰だ? でも基本、メカブちゃんはここにいる。そしてここにやってくるNPCといえば、マイオさんの部下とか? それか街の人はちょくちょくと来てくれたりもする。
なかなかにオウラさんの顔が広いし、何か困ったことがあったらここら辺の人たちってオウラさんに相談するようになってるんだよね。なんかちょっとした顔役……みたいな感じにあの人はなってる。だから訪ねてくる人は多い。
大体そんな人たちもいつもぐでーとしてるか、協会の中で変なことをつぶやいて笑ってるメカブちゃんはスルーしてるはずだけど……
「てかメカブちゃんはそれで何かスキルが取れたりしたの?」
「ふっ、私が得たものは目に見えるものではない。だがしかし、私は心の開放を味わった。だからそれは世界の開放に違いない」
うーん、メカブちゃん的にはその行為でとても興奮したから何か価値観的なものが更新されたのかな? それでそれを開放とかなんとか言ってるみたいな?
「別にメカブちゃんがそう思うのは勝手だけと私や、この子たちを巻き込まないで」
「こんな世界だから強くしようと思っただけよ」
どういうこと? まあメカブちゃんのいうことは大体わけわからないからね。真面目に聞くだけむだなのだ。
「それでオウラさんは? まだ入ってないの?」
「オウラなら私のお使いをやってるわ。本当に私のために馬車馬のごとく働いてくれて助かるわね」
「そんなこと言ってるとまたげんこつ食らうよ」
「だって事実じゃない」
まあ確かに……別にメカブちゃんのためではないが、めっちゃ精力的にオウラさんは動いてる。それは否定できないね。
「お礼の品持ってきたんだけど……」
「とうせここの領主からでしょ? なら共同のに入れとけばいいじゃん」
「そしたらどっかのだれかが、勝手にオークションに出したりするし」
「ふっ、ただお金を増やそうしただけよ」
「それで元値よりも安い値で買いたたかれたら意味ないよ」
メカブちゃんのせいで、色々と大変なことになったからね。とりあえず共同のアイテムボックスに入れるのはちゃんとオウラさんにも現物を見てもらってからだ。
そうしないとメカブちゃんが勝手に持ち出して何に使うか分かったものじゃない。そうこうしてるうちに、オウラさんがやってきた。