1510 校内三分の計編 170
「その顔は……」
(う、しまった?)
「僕が何やらわかってないかのような……いやいや、ちょっとアドバイスが足りなかったようだね」
うん? なんかマイオさんが勝手に私の表情を察して先回るようにそう言った。まあ足したに女心をわかってないって思ったけど……てか私のあんな微妙な表情でわかるって、普段からそんなことを言われてるのだろうか? 気になる。
「わかったぞ」
さらに指をぱちんと鳴らして、マイオさんが私の方を見てくる。なんかその指パッチンイラっとする。やめてほしい。
「きっとセツリ君は不安なんだね。もしもそれを指摘して友達がどんな反応をするか。そして本当に自分を裏切ったのか。そうなら、傷ついてしまうからね」
「まあ……それはありますね」
「でも、友情ってのは見たくないものを見ないようにすることとは違うと思うな。友達だからこそ、なんだって言い合える様になりたいじゃないか」
「それば理想論ですよ」
「確かにね。誰にだって胸に秘めた思いってのはあるものだ。でもそれじゃあ、このままでいいのかい?」
「それは……」
嫌に決まってる。直ぐにでもクリスちゃんに詰め寄ってなんでキスしたのって聞きたいよ。それかスオウに詰めよって無理やり唇を奪いたい。毎朝会うたびに私は「キスしたいなー」っておもってスオウの事見てるし。
「まあ、選ぶのはセツリ君だよ。でも僅かながらも年上からのアドバイスとしては、後悔しない方を選んだ方がいいってことだね」
「後悔しないほうですか……」
確かにそれは大切だと思う。だって後悔して取り返せる段階ならまだいい。でもそうじゃない時は来る訳で……私はスオウと同じ家に住んでるってことに満足してしまってたのかもしれない。
同じ家に住んでるんだから、もっとアピールをするべきなんだよね。お風呂だって、タイミングよく脱衣所の扉を開けばグフフな映像が拝める可能性があるんだし。大丈夫、この世にはラッキースケベって言葉がある。
「そういえば、衛兵の人にラブレターもらったんですけど、これってどうすれはいいですか?」
「ラブレターか。それはそれは……流石だね」
なんか感心したのか様にマイオさんがいうけど、何か流石なのか……私は困ってるんですよ。
「でもラブレターの一つや二つ……いやセツリ君ならもっともらってるだろう? 一枚で困るなんて事はなさそうだが?」
「まあ、それなりに私はもらいなれてるのは確かですけど……でもこれってクエストアイテムなんですよね」
「なるほど……そう来たか」
なんかちょっと面白がってないですか? 実際クエストなら何か報酬があるだろうし、ゲーマーとしては見過ごしたくない。でもそれだとこのラブレターをただ突き返す……でいいのか。LROはセーブとロードを繰り返して選択肢を選び直すなんて事は出来ない。だから慎重にやらないといけないのだ。
選択はたった一回。リアルと同じなんだよね。