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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1508 校内三分の計編 168

「大丈夫なんですかあれ?」

「皆慕ってくれてる証拠だよ」

「慕われてるというか……なめられてません?」

「ははは……」


 なにその乾いた笑い。マイオさんだってそう思ってるでしょ。領主であるマイオさんがなめられていいのだろうか? まあギスギスとしてるよりはいいとは思う……けど。それに普通に現代の日本人が領主とかやったらそんな風になる気はするよね。だってトラブルとか避けたいから、こう、そんな傲慢にはいけないしね。

 マイオさんは典型的な日本人な感じでなるべくトラブルを避けようとしてるのは見ててわかる。まあもちろん、戦闘とかの面ではしっかりしてるんだけどね。その時は、指示だって的確だし、何よりも頼りがいはあると思う。

 でもことこういう領主業は……ね。なにせ現代日本でこんな一つの街を納めるなんてないし……多分県知事とかが近いんだろうけど……でも日本の県知事ともやっぱりきっと違うよね


 日本ってある程度は権力が分散する様になってる訳だけど、LROはまだまだ文化が成熟してない時代をテーマにしてるし、一つ一つの街の領主って基本自分の街では王様みたいな物だろうしね。なんだってできるってなると、案外どうしていいかわからないってなるのが、日本人だって言われてるもんね。


 むしろある程度、道を示してくれた方がありがたい――みたいな? まああからさまにNPCが正しい方向へ導く……なんて生易しいしようじゃLROはないと思う。けど、明らかにこの世界に適応してるNPCの方が知ってることがある――ってのもある。それはこの世界の常識とか、貴族性とかだ。

 私たちは大体誰もこんな偉い立場になって街を統治した人なんていないんだから、周りに頼ってしまうのはしょうがない。周りに頼るって事は周囲のNPCが大事ってことで、そうなると、変に高圧的になんて普通の日本人なら出来ないよね。


「まあこっちはいいじゃないか。それよりも、聞いたよ。僕に会いたがってくれてたって」

「なんですかそれ? 私は別に会いたくなかったですよ。今日入ったのはただの憂さ晴らしですし」

「それはちょっと期待してたのに残念だね」


 なんか全然残念じゃない感じでマイオさんはわざとらしく肩をすくめて見せる。むむむ……そう呆気なく言われると、なんか女としてのプライドが傷つけられるっていうか……そんな気がしないでもない。いや、ここは下手に反応するべきじゃない。私だって大人の女の余裕って奴をみせるのだ。

 私は出されてたお茶を口に含みソファーに大きくもたれかかった。あんまり情けないというか、だらしない格好とか男の人がいると見せないけど、まあこの人ならいいよね。


「何かあったなら聞くよ? どっちのことでもいい。別に他言はしないし」

「それは心配してないですけど」

「いや、本当ならもっと心配した方がいいけどね。こうやって君にはいい顔して近づいてくる輩が多いはずだし」

「マイオさんもその一人ですか?」


 私はそう言って下から覗き込むような態勢になっていうよ。ちょっとテーブルの淵の方に手をおいて膝はソファーに置いたまま、背中がそって、猫みたいになってる。するとマイオさんは私の頭に手をのせて――


「そういう事はやめなさい」


 ――とかいって私の頭をぐしゃぐしゃにしてきた。むむむ……これが効かないのはスオウとマイオさんはくらいだよ。クラスの男子にすると、絶対にゆでだこになるのに。まあだから信じてるけどね。


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