表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1505/2696

1505 校内三分の計編 165


「セツリさん、こっちです」

「ええ……」


 なぜだろう……なぜ此の人は私の案内をしてるのか……なんかちょっとゾワッとした。なぜかというと、私は街に戻って来た時、別の方の出入り口を使ったのだ。いやだって、確実に此の人がまた街を出た時の門にはいると思ったから、わざわざ街をグルっと回って、反対側の出入り口まで来たんだよ? それなのになぜか此の人はいるのだ。おかしい……これがおかしくなかったらなにがおかしいのか私にはわからない。

 だって反対側だよ? それなりに距離あるよ? いや、そもそもがあんた門番でしょ? なんでこっちにいるのよ。もしかして時間が来たらローテーションしてるとか? そうであってください。でないと、なんか怖いし。


「マイオ様はいつでもいいとおっしゃってましたから大丈夫ですよ。どうでしたか今日の狩りは?」


 彼は色々と私に話を振ってくる。私はソレを曖昧な相づちでやり過ごす。


(ううー、しんどい……)


 なんかラブレターの事はなかったかのように振る舞ってる彼。意識的に多分そうしてるんだろうけど……ハッキリ言えばこっちが気が気じゃないよ。肉体よりも心に来る……一応笑顔を作ってるけど……ちゃんと出来てるか不安だ。

 別に此の人はいい人だとは思う。でも……


(だってNPCだし……)


 そこだよね。実際、ゲーム内で付き合ってる人っているんだろうか? いやプレイヤー同士なら、時々、ネットゲームで知り合って結婚しました――的なのを見る。もしも私とスオウがそこまで行ったら、まさにそれになるとおもう。


(ぐふふ)

「どうしました?」

「いえ、こほこほ、なんともないずよ」


 しまったしまった、思わず結婚式の様子を想像して、家族も作って……ってところまで想像してしまったら、変な声が出てた。私は慌てて、ごまかすよ。


(まあけど、流石にNPCと付き合ってる人なんて……)


 よくよく考えたら、このゲームの住人たちは高度なAIというかもう皆心を持ってるとしかおもえないからね。しかも可愛いとか格好いい奴はこんな世界だからか、結構いる。それを考えたら、NPCと付き合ってる人はいそうだよね。ただ、言わないだけで……普通にデートとかしてるだけじゃ、傍から見てたら気づけないし……ならそんなにおかしな事ではない? 


(予行練習にはいいのかな?)


 私はそんなひどい事を考えながら歩いてると、マイオさんがいる領主の館まで来てた。


「では自分はこれで」

「あ、ありがとう御座いました」


 私はそう言って、彼を見送る。「はあ」思わず彼が見えなくなると、そんなため息がでた。そして私は別段ノックとかせずに、領主の館へとズカズカと足を踏み入れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ