1497 校内三分の計編 157
「それで、これがどういう風に、選挙に関わってくるんだ? てかどうする気だよ?」
「あれれ? スオウは生徒会長には興味なかったんじゃないデス?」
クリスがなんか面白い顔して僕をからかってくる。確かに僕は生徒会長なんかには興味はない。だってどうせ日鞠だろ? って思ってるし。あいつ以外に考えられないし、実際日鞠が負けるところって想像できないからな。
それに単純に将来……とかを見据えた時に、一体誰が自分たちの将来に対して選択肢を増やしてくれるか……可能性を広げてくれるかって考えたら、自ずとその答えは出てくる。
それはやっぱり日鞠の奴しかいない。だって普通は生徒会長が学校を変える……なんて事は起こり得ない事だ。それが起こったのは、ひとえに日鞠というイレギュラーが会長になったからだ。
普通は生徒会なんて生徒と教師の間にたって、色々と面倒な事をして、ちょっと進学とかに有利になる――位の立場だ。
殆どの学校ではその程度の立ち位置だろう。でも今、この学校の生徒会はそんな常識の生徒会の立ち位置を逸脱してる。そしてそれは今や、大きな流れというか……この学校の範囲にとどまってないんだよね。つまり、日鞠の影響力と言うのは、学校の外にまで波及してる訳だ。
それなのに、今日鞠から生徒会長という肩書を取り上げるなんて……はっきり言って在校生的には自分たちの将来の可能性を自ら摘み取ってるようなものだ。
確かに僕達高校生の殆どは将来のビジョンを明確にもって、そして夢を追いかけてるっ自身を持って言えるやつはきっと少ない。でも、少なくとも楽しく生きたいと思ってるはずで、そのためには学歴とか、色々な物が必要だって事は理解してるんだ。
負け組には誰だってなりたくないしな。それにここは区立の高校だ。私立の進学校とかじゃない。だからある程度平凡な……で満足してたはずなんだけど……日鞠の奴が夢見せたからね。たった一年しか去年の三年生には日鞠は関わってない。なのにそれまでこの学校とは縁が皆無だった有名国立大学に現役合格者をだした。
それは偉業だっだ訳で、更に次の世代となると数を増やす事を期待されてるわけでさ……つまりは将来を打算的に考えると、日鞠が会長という選択肢しかないわけだ。
安泰じゃん。
「何をやろうとしてるか、くらいは興味ある」
からかうテンションで来てるクリスのやつに、僕は真面目にそういうよ。こいつのこういうの演技だし。
「確かに、そうでなくちゃ困るデス。でもやっぱり秘密ですね。それよりも、早くデートに行きましょう!」
「はぁ? あれはただの振りとかだろ?」
「ノンノンですよスオウ。今日の放課後は目一杯付き合ってもらいますデス」
そう言って僕はこの日、日が落ちるまで……いや、日が落ちてもクリスに連れ回された。