1477 校内三分の計編 137
薄く風を伸ばして、なるべく広い範囲をカバーする。勿論この風では攻撃にも、防御にも使えない。移動の推進力にする力もない。けど……狙いはそこではない。
僕を目指して触手が襲いかかってくる。勿論避けるんだけど……、避けた後、それで終わったわけじゃない。この触手は自由自在だ。おかしな動きをして、死角から襲って来やがるのが厄介。けど……
(わかる――ぞ!!)
僕は死角から襲ってくる触手を見ずに交わした。更に続けざまに襲ってくるやつもその場から飛んで交わす。前と後ろ同時に来られても片方見てるだけでもかわせる。てか、ちゃんと狙い通り、その役割を風は果たしてくれている。
「いけ――る!!」
僕は力強く地面を蹴った。これまではあの触手の動きを全部完璧に把握するなんて不可能だったから、新種にたどり着く事が出来なかった。けど……今なら行ける! そんな気がする。
明らかに見える範囲での触手をこれでもかってアピールしてきてる。けど本命は背後に回ったやつだと見ずにわかる。だから正面から来てる触手もかわしつつ、背後から襲ってくる触手も紙一重で完璧に交わしてみせる。
一瞬、触手の新種に動揺が走ったのがわかった。近いぞ! もうすぐだ。けどその時、僕の風の感覚にたくさんの触手の感覚が現れる。見える触手の数に違いはない。けど……確実に増えてる!
触手の他にも能力があったっておかしくはないとは思ってた。それがこれなら、相当厄介だろう。でも、今の僕なら、その全てを見えなくても把握する事ができる。見える触手と見えない触手、その動きを把握して、隙間を抜ける様に僕は駆けた。
そして僕はついに触手持ちの新種の懐にたどり着く。ジェスチャーコードで雷の札を出す、それを刃先で切り裂き、力を発動。束ねてたから、一気に視界が白くなった。新種は後ろに下がろうとしてる。わかるぞ。あふれる雷の力を僕は掴む。当然、呪いのせいで完璧にはつかめないし、風ほどに熟練してないから、掴めるのなんて二割くらい。でも、それを数でカバーする。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
目の前でクロスして体を守ろとする触手を切り裂く。いける! 雷を纏ったフラングランなら触手をきれる!! どうやら触手に対して、雷属性はは相性がいいらしい。ぬめぬめした体液の影響も受けない。雷の一部を体に伝えて、直線状に一瞬で抜ける。
「ブポオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
太い悲鳴が響く。奴の右側の触手を切り裂いてやったからだ。いや、本当なら上半身と下半身をぶった切るつもりだった。けど、あいつはそれをかわした。きっとヤバいと本能で感じたんだろう。けどそれでも大ダメージだ。半分近くのHPを持っていけた。まあそれでもLROならピンピンしてるだろうが……でも彼奴は動きを止めてる。この隙きに、今度は呪いを振りまいてる奴を潰す!!