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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1435 校内三分の計編 95

 僕と秋徒は教室の出入り口の後ろ側……そして摂理と取り巻き達は前側にいる。そこで別の教室の奴らは離れて行くが、勿論だけど、同じ教室の奴らは一緒に教室に入ってく。その時チラッと鈴鹿が摂理の方をみてたけど、摂理は友達と一緒に楽しそうに笑ってたから、多分気付いてはない。僕が見てる事に気付くと、さっと摂理をかばう女子がいる。いやいや、意味あるそれ? 一緒に住んでますけど……まあそれを知ってるのは限定的だけど。流石に殺されそうだからね。

 でもやっぱりまだ教室の視線は厳しい。摂理も今の僕の現状わかってるからか、学校ではなるべく近付かない感じだしね。まあ邪魔には成りたくないから別にいいけど。それから五限目が始まって、最後の授業の間の休み時間。ひょっこりと日鞠の奴が現れた。今日、初めて見たな。


 日鞠が現れると空気が変わる。それこそ男子だって女子だってざわってなる。この教室の奴らは実際どっちに投票するの? 難しい立場にあるよね。特に女子はどっちにも仲良くしてるし……摂理の事はただのお手伝い的な感覚で、結局は日鞠に票は渡すのか、それともちゃんと摂理に投票するのか……どうする気なんだろう? まあ別に誰が誰に投票したのかなんて公表される事はないから……コウモリみたいな事をしたってバレる事はないとは思うけど……


「スオウ」


 どうせ今の状況では僕の所になんてこないだろうなって思ってると、なんか普通に日鞠の奴は声をかけてきた。これは……どういう風に反応したらいいんだ? いや、普通にするのがきっと一番だよな。日鞠は別になにも気にしてないって事をアピールしてる……んだと思うし。多分ね。


「何?」

「別になんでもないけど……ほら、そろそろスオウに聞いておこうと思って私に票くれるのかなって?」


 なんだ? 夜の内に言った事は成るべく干渉しないんじゃなかったか? いや、アレはLROでの事か? リアルなら別にいいのかな? リアルじゃ、あの時僕達にヴァレル・ワンを手引きしたあの女性を見つけるなんて不可能だし……日鞠の発言で教室中がザワザワとなってる。なにせ今まで日鞠も摂理もそしてクリスも生徒会長選挙が始まってからはその手の話し、僕には振ってきてなかったからね。


『避けられてる、ザマァ』


 とか思われてたのはしってる。でもこのタイミングで……一番僕の評判が悪くなったこの時に、日鞠が僕の票の催促をしてくる。しかも僕が加害者なら、被害者は日鞠な訳で……その日鞠が……ね。この学校の奴らなら、LROで日鞠が会長としてテア・レス・テレスを率いてるなんてのは誰もが知ってるから、僕はこんな針のむしろ状態になってる訳で……


「お前さ……」

「ん?」


 日鞠は何も言わずにただ、ニコッとするだけだ。決して、クリスの様な華やかさや、摂理の様な愛らしさで勝ってる訳なんてない。日鞠にあるのは人望と才能と、そして行動力って奴だろう。きっと何か……あるんだろうなって僕は思って、ただ一つ。日鞠の望みの言葉をいってやる。


「わかったよ。僕の一票、お前にやるよ」

「絶対だからね」


 そんな念押しして日鞠の奴は教室を去って行く。それで更に教室の視線が痛くなったけど、なんかどうでも良い度合いは増した気がする。

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