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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1405 校内三分の計編 65

 今日の夕食はビーフシチューだった。それに付け合わせにサラダもあった。ドレッシングはご自由に。いくつか家の冷蔵庫にはドレッシングがあったからね。最初から特定の味をつけておく……なんて事はしないようになったんだ。

 前は日鞠が僕の好みをわかってたから出てくるのはいつだって僕が好きな味の物だった。勿論あいつの事だからバランスとか考えて作ってたと思う。けど今はもう、この家には僕だけじゃない。だから僕だけに合わせるなんて事は出来ない。


 シチューだからか、今日はパンも用意されてる。フランスパンだ。でもフランスパンってなんか朝食のイメージがあるとような? いや、偏見かな? まあ美味しいから良いけどね。


「どうですか?」

「うん、とっても美味しいです」

「うん、最高です!」


 僕は口に料理を含みながらいったから、ちょっとモゴモゴしてた。てかおばあさんは最初はそれこそ和風な料理がメインだった。でも最近はとてもレパートリーが増えた。きっと僕達の様な若者に受ける様な料理を調べて作ってくれてるんだろう。とてもありがたい。和食も好きだけどね。でもどうやら摂理は洋食派みたいだ。もう一人この家に住んでる人が居るけど、あの人はどうなんだろう? そもそもが一緒に食事をする事が極端に少ないから、よくわからない。ちゃんと分けて暖める様にした奴を冷蔵庫に入れてるわけだけど、残ってた事はないから、多分なんでも食べる人だとは思う。


「どうですか学校は? 生徒会長になれそうですか?」

「うーん、それはどうだろう……私が一番ダメダメだから……」

 

 おばあさんの言葉に摂理の奴はそう返す。僕は同声を掛けたら良いのかわからないから、食事に専念だ。まあそもそも二人で喋ってるしね。きっと年の功でおばあさんが良い事を言うだろう。


「ダメダメなんて、言っちゃダメですよ」

「でも……二人とも本当に凄いんだよ? 私……こんなだし……」


 摂理って基本ネガティブ思考なんだよね。まあずっと病院生活だったし、その過程で明るくなんて慣れないだろうが、ネガティブシンキングに入ると、ずっとぐるぐる回ってる節がある。でも同時に、こう言う言葉を言うときって「そうじゃない」って言葉を求めてもいる。

 それは摂理だけじゃなく、大抵はそうだと思うけど。


「そうですか? そうかもしれないですね」


 でもおばあさんはなんとそのまま肯定してしまった。ちょちょ、そこは「そうじゃない」って言う場面! まさかおばあさんがここで踏み間違えるなんておもって無かった。だっておばあさんは本当に僕達の事をよく見てて、ちゃんと寄り添ってくれてる。

 そんな人が……


(いや、何か有るんだよねきっと)


 僕はそう考えを切り替えた。今までのおばあさん的にここで間違う訳がない。なら、これがおばあさん的に答えにたどり着く道筋で摂理に届けたい何かがある! って事だと思う。僕は口に入れるだけで崩れるほどに柔らかくなった肉を含みながら、静かにこの場を見届ける事にする。

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