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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1399 校内三分の計編 59

「あっ……」


 握ってたペンが私の手をすっぽむけてしまった。今は授業中……私は車椅子だから、一番前の席に居る。私の目の前は教卓で、拾うとなると自分では厳しいから誰かに拾って貰わないといけない。一番近いのは教師なんだけど……私のすっぽ抜けたペンに気付いてない。


 でもその時だ。ズザァァァァってなんか床を滑る男子が複数。


「姫、どうぞ!!」


 一人のクラスメイトが私の落ちたペンを手に持って差し出してくる。その直ぐ後ろで、私のペンを取れなかった男子が床を殴ってる。そこまで悔しい? その時、なんかちょっとジワッと黒い染みが心に広がる。


「ありがとう……」


 私はペンを手のひらに置いて手を差し出していたそのクラスメイトの中指に指を置いた。その瞬間に、ビクッと彼はした。普通に私がペンに取ると彼は思ってただろう。それを私は裏切って、彼の指を触った。そしてそれだけじゃない。私は彼の指の平を沿わせていく。


 彼は私のその指を凝視してる。息も忘れるほどに観てる。私はじれったく手のひらにきた指をクルクルと為てあげる。何故か後ろにいるクラスメイトも凝視してる。なんだろう……ゾクゾクするね。でもあんまり時間を掛けてると、先生に注意を受ける。これは小さなスリルとドキドキが目的だから――


「あっ」


 ――ペチンと私は指で手のひらにあったペンを弾いた。反射は間に合わず――というか私の指を掴みそうになったから彼は動きを止めてた。だから結局再びペンは飛んでって……机にぶつかって、丁度後ろにいた彼の側に。彼はめっちゃ震える手で、ペンをとった。多分彼はこう考えてる。


(もしかしたら自分も)


 すると先生が「何やってる?」と言ってきた。それに驚いて、最初にペンを持ってきてた彼はフラフラと自分の席に戻っていく。まるで心ここにあらずって感じだ。一応「ごめんね」って言っておいた。そして今さっきペンを取った彼は私の机にペンを置いて戻ろうとしてた。私は引き留めて何かしたほうが良いかなって思ったけど、先生が前を向いてるし辞めた。

 焦らしプレイって奴だよね。きっと彼はとても悶々としてるだろう。その証拠に、彼は授業が終わってそれから放課後まで、めっちゃ私の事観てた。何か有るんじゃないかって思ってたんだと思う。実際はなにもない。何も無いけど、私は彼が拾ってくれたペンをずっと持ってて、時々口元に持って行ったりしてた。


 なにか意味があるかなんて……まあない。でも、何かあるかもしれない……みたいな想像を彼は膨らませてるだろう。私は頑張って色々とマンガとか読んで勉強したんだよ? ワガママでも許されて、皆に愛される勉強をね。

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