1385 校内三分の計編 45
「えっと……担当直入にいうと……どうしたらいいと思う?」
私は素直にクリスにそう聞いた。結局私が生徒会長選挙に立候補するのを決めたのはクリスに乗せられたから。唆された……とも言える。そのせいなんだから最後まで面倒見て欲しいってのが私的な心情だ。だって私は人付きあいっで苦手で……どういう風に何をやれば良いかなんてよくわからない。
皆もだって……勝手に動くし……楽だけど……このままで良いのかなって不安は常にある。それに……私は隣で静かにケーキを時々つまみつつ、文庫分のページを進めてる鈴鹿ちゃんを見る。関心無いんだよね。寧ろ生徒会長選挙なんか私に関わらせないでって感じ。
「簡単デスよ。無茶な事いっぱい言えばいいデス」
「え?」
どういう事なのそれ? 無茶な事って……それで何かなる?
「摂理はお姫様なんですよ? 摂理の支持者達に取っては摂理の為に動く事が喜びなんです」
「まあ……それはなんとなくわかるけど……」
でもだから勝手に皆動いてるんですけど……しかもそのおかげで私は別に何もしなくて良いって言う楽なポジションに収まってる。ゲームもやる時間もあって万々歳だよ。でも私だってちょっと申し訳なさとかあるからね。
「あんまりにも勝手にやられるのが嫌だから、無茶を言うんですよ。それでも彼等はなんとかしてそれを成そうとしまデス。そうやって手綱を握っていけば良いんデス」
「無茶な事で皆の行動を縛るって事?」
「そういう事です。これは姫な摂理にしかできないですよ。日鞠も基本無茶やってますけど、日鞠はそこらへんコントロール上手いですからね。どんな無茶だってやり遂げます」
「ダメじゃん」
私の無茶と日鞠ちゃんの言う無茶は根本的に違うとクリスは早々に三つ目のケーキを頼みつつ、クリームソーダを飲んでる。
「ダメじゃないですよ。寧ろ日鞠は上手くやらないと支持率に繋がりません。皆が思ってます。日鞠に失敗はないって。どうですか?」
「そんな感じはする……ね」
「そこはこれまで日鞠を見てきた鈴鹿の意見が欲しいですね」
そう言って話しを我関せずしてた鈴鹿ちゃんに振る。するとページをめくる手を止めた彼女は私達の会話聞いてたんだと思うくらいにすらすら、意見を言ってくれる。
「そうね。でもちょっと違う。失敗とか成功とか、私達じゃ多分あの人が見てる物を理解できてないと思う。わかりやすくそう言う事を示してくれるけど……寧ろそうじゃない。はっきり言って、皆絶対の信頼を置いてるのが今の会長」
「勝ち目見えないよ……」
鈴鹿ちゃんまでそこまでいうとは……いやしってたよ。何せ鈴鹿ちゃんの尊敬できる人物に偉人の他に入ってくるの日鞠ちゃんだけだし。多分この学校のアンケートで尊敬できる人物は? とか問いかけたら十割日鞠ちゃんって書くんじゃないだろうか? そのくらい彼女に対する信頼は高い。
「それでも人の心は完璧に固定される事は無いデスよ」
そんな事をクリームソーダのアイスを突き刺しながらクリスは言う。人の心を刺激するためのあのネタだったのかな?
「とりあえず摂理は信者達に無茶を言って、出来なかったら蹴ったり、慰めたりすれば良いです。それでもっと摂理の虜にするデス。日鞠が出来ない事で、攻めていかないと切り崩せないですからね。摂理はとにかくその容姿を使うしかないデス」
私にはこの容姿しかないような言い方だね。まあそうだけど。私は二人に比べれば成績だって全然だ。秀でてる事と言えば、この見た目だけ。とりあえず無茶をいうのか……それでどうにかなるのかよくわからないけど……
「わかった、やってみる」
私はとりあえずそういった。