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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1358 校内三分の計編 18

 自分達はこの学校の報道機関『日の出ジャーナル』である。その歴史は古く、この学校の設立当初から有る伝統ある部だ。まあだけど、一年前はこの日の出ジャーナルも廃部の危機にあった。先輩は卒業していった三年生が一人だけで、自分と合わせて二人だけ。でもそれも最初だけだった。日鞠君が会長へと就任して、すると自分たち報道機関にも大きな着手をしてくれた。彼女は報道の大切さを知っている。


 昨今、報道はその形を変えてきてる。ネットの普及で新聞の契約率は軒並み下がり続けてるし、雑誌とかだって、ネットで配信して紙媒体はどんどんと売れなくなってきてるのは公然とした事実だ。そしてそれは我々若者に顕著な事。皆が雑誌や本、新聞なんかを読まなくなってきてると言われる昨今だ。更にはテレビ。この学校の調査でもテレビよりも普通にYoutubeとかを見てる方が圧倒的に多い。ネットコンテンツを今や、若者は積極的に消費してる。でもだからってネットに転がる情報というのはとても雑多な物だ。


 なにせ世界中から日々、ネットには大量の情報が発信されてる。それは大手の報道機関からもそうだが、有名なインフルエンサー達、はたまた一般的な人達の呟きなんかもそうだ。でもその中にだって人生経験を綴った読み物や、漫画、商品への生々しいレビューから、好きなアニメや映画批評なとたくさんある。それらを個人で精査して更に自分の欲しい情報を掘り起こす……なんてのは大変だ。

 

 なので自分たち日の出ジャーナルはそれらを、世界中の有意義な情報を生徒達に届ける事をうまとしてる。その筈なんだけど、この学校にも才能がある生徒ってのはいたようだ。自分は今や日の出ジャーナルの編集長であり部長であり……そしてなんと日の出ジャーナル有限会社の社長である。どうして学生なのに社長なのか……しかも学生だけの会社……そんなのが認められるのかというと……実は認められる。

 そもそもこの国は起業自体は子供にだって出来るのだ。でも大半の人達がそんな発想に至らないし、至るだけの行動力があるのなんて、それこそ一部の天才だけだ。そして自分は天才なんて者じゃない。じゃあ何故自分がそんな天才まがいの事をやってるのかというと、勿論会長の仕業である。あの日の事はきっと生涯忘れない。



 ※※※

 

 あれはそう、一年前の生徒会長選挙が終わって直ぐの事だった。自分と先輩だけの旧日の出ジャーナルは生徒会長選挙という年に2・3回の大イベントを終えてぐったりとしてた。まあ選挙結果を張り出して煽り文句とかを乗せて校内に張るだけだ。それでも、二人だとそれなりに大変だった。それでもそれなりの満足感なんてのがあって二人してパイプ椅子に座って古びた机に突っ伏していた。


 そんなときだった。あの狭い澱んだ空間とかび臭い資料があって誰も寄りつかないそんな部室、そこに新たな風が吹いたのは。


「失礼します」


 そんな風を吹き入れて、黒縁眼鏡の三つ編み女は現れた。

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