1351 校内三分の計編 11
「そういえば私は『メリッサ』です」
「ああ、僕は……」
「いいですよ。しってますし。それに聞きたく有りません」
どういう事!? 聞きたくないって酷くない。知ってるなら、それだけでいいじゃん。なんか薄々感じてたが、もしかして僕って彼女に嫌われてる? でもそんな嫌われるようなことをした覚えはない。でももしかしたら彼女も前のLROからやってた人なのかも知れない。最近は新規プレイヤーも増えては来てるが、依然として生まれ変わる前のプレイヤーが多いんだし、あり得る。そして新規プレイヤーなら、僕の事なんか知らないのが普通で悪感情なんてアリはしないが、以前からのプレイヤー達は大体僕の事を恨んでる。
何せ勝手にリセットかけたからね。誰だって自分が時間を掛けて進めてきた何か……それはゲームじゃなくてもいい。それこそ勉強とかでもいいし、プラモデルとかでもいい。大切に育ててる物だっていい。そういう自分が時間を掛けて少しずつ少しずつやって事をどっかの他人が台無しにしてくれたら……どう思うだろうか? つまりはそう言う事だ。だから僕は顔もみたことない、有ったこともない人達に結構恨まれてる。僕の場合は悪意があってやったことではないが……でもそんなのは関係ない人達からしたら良いわけにもならないのだ。このメリッサさんもそういう事で僕の事を嫌ってる可能性はある。
「一応名乗っただけで、正直、名前は発音しないでください」
「そこまで!?」
流石にここまで直接的に言われるのは珍しい。時々いきなりプレイヤーが襲ってきたりするけどさ、そっちの方が幾分かましだよね。だってそういう相手の方が相手しやすいし。でもメリッサさんみたいなタイプだと……気まずくなる一方だ。正直精神が削られる。なんでゲームをやって制震し削られないといけないのか……
「どうせ、今回限りの付き合いですよ。とりあえず色々と情報を集めてみましょう」
「情報って言っても、何の?」
するとなんかめっちゃ睨まれた。無言でそのくらい自分で考えろや!! とか言われてる気がした。そしてなんかため息疲れて、彼女メリッサさんは歩き出す。その間にもウインドウは開いて何やらやってるが……とりあえず僕も何かやってる真似だけしつつ、彼女の後についていく。すると人の国の外側の門まできてしまった。普通にこの向こうはフィールドだ。人の国の周りは草原が広がってる。なだらかで街道も整備されてるし、ちょっと行くと確か村とかがあってそこら辺は畑が広がってる筈だ。街道には警備の為の軍の人が馬に乗って定期的に通り過ぎたりもしてる。
ここからLROを始める人が多分もっとも多いこともあって、色々と人の国は配慮されてるんだよね。まあけど、今は皆エリアバトルばっかりだからね。勿論、プレイヤーがいないなんて事はない。それなりに沢山いる。でももっといてもおかしくないよな? とは思う。
「さて、ちょっとそこらのモンスターを生け捕ってみてください」
「はい?」
そんな返事したら、ゴミを見る目で見られた。はいはい、やりますよ。やります。