1350 校内三分の計編 10
「いやいやいや、そんなの無理だぞ!」
「何故ですか?」
「何故ってそれは……」
「いえ、言い方が悪かったです。やりなさい」
「強制!?」
恐ろしい事を言いだしたぞこいつ。もう理由なんて物はいらないって事か? 無理――なんて言葉は許され無いらしい。軍隊か何かかな? そんな所に入った憶えは無いぞ。
「君がやれないと私が折檻されるじゃないですか」
「折檻って……そんな事LROは出来ないだろ?」
「出来ますよ」
「出来るの?」
いやいや、そんなの出来たら問題でしょ。確かに痛みはある。でも痛み自分で切ることも出来るし、掴まったとしてもログアウトは出来る訳で……拷問とか誘拐って実質意味なんて無い。折檻なんてされそうに成ったら、ログアウトすれば良いだけだ。
「くすぐられますね」
「は?」
「あと踏まれます。気持ちいいですよ」
「それは折檻って言わないし、アンタの性癖なんて知りたくない」
てか楽しんでるのなら、別に良いじゃん。折檻という名のプレイしてろよ。
「私はなるべくなら、ローレ様の願いは叶えてあげたいんですよ。わがままな子供って可愛いじゃないですか」
「あいつが可愛いのは外見だけだろ」
本心でそう言った。外見はね……LROだし、どうとでも成る。
「そうですか? 君はローレ様のお気に入りだし、分かってくれると思ったのですが?」
「お気に入りって、それこそあいつの目的は僕の力とかだろ? まあこっちもあいつの力目的だったし、お互い様だけどさ」
そう言ってプイッとする。するとその人が僕を見てる様な気がする。多分ここは人の国の扉の前なんだろうけど、閑散としてるから僕達に注目してる奴らはいない。
「そういえば、ローレ様がこんな事を言ってましたよ? これが出来たら、貸し借り無しにしてもいいかな? って」
「何?」
マジでそれ? まあそもそも貸し借りなんてのはもう返した気もするが、それはこっちの判断だからな。でもこの前抜けるって言ったら、金要求してきたよなあいつ? どういう事なの? どういう心境の変化? でもこれやったら、そこら辺クリアしたって事にしてくれるっ事か? 一応、チームは抜けたとしても、ローレの事は気になるからな。なにせ苦十が目を掛けてるみたいだし……てかもう接触してる? 完璧に離れるなんて出来ない。だからこそ、一応良好な関係で抜けたいんだよね。それが今回のわがままを聞けば……聞けば……
(出来るか? 無理じゃね?)
だってテア・レス・テレスにLROが繋がってるのって、何かエリアの条件を満たしてるって事と、トップだから……じゃない? 幾ら祝福があるからって厳しいと思うんだよね。そもそも誘拐なんて出来ないし……ローレが望んでるのはきっとテア・レス・テレスのエリアと同じようになる事だろう。僕だけでどうにか出来る案件じゃない気がする。もしかして無理難題を押しつけて、抜けるのを諦めさせる魂胆? その線ももしかしたらあるかも知れない。