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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 人生とはなにが起きるか分からない物だ。私はただ、そうただ普通のOLだった。いや違うかも知れない。私は生きるのに疲れたOLだった。働くことに楽しさなんか無かった。ただ毎日のノルマと、職場の劣悪な環境にもうそろそろ死のうかな? なんて考えて時期だってある。最近はそういう所は止めれば良いって言われる。確かにそうだけど、仕事を簡単に辞めれない人だっているのだ。

 私の様な奴は、一回就職できただけでも奇跡。そう思うと、次の職なんて探す事が怖い。そもそもが生きるって死ぬまでの猶予期間みたいな物じゃん。なら充実してる必要なんて無くない? ただどうやって速やかに死に向かうのか……そう考えたら、このままこの職場にいれば、速やかに死ねそうだったしね。悪くはなかった。でも転機は訪れた。それはLROだ。私はこれまでの人生、ゲームという物に触れた事が無かった。


 そもそも私って娯楽に興味が無い。触手が動かない人間だ。そういう所を学生時代から、変わってるね……とかそれこそ気持ち悪いとか言われてきた。つまらない……が一番多かったかな? でも人生なんてつまらない物でしょう? と私はずっと思ってた。ならなぜそんな私がLROなんて物を買ったかというと、なんとなくだ。なんとなく、その売り文句に惹かれた。『新たな世界で、新たな自分に』そんなのが描かれてた気がする。


 こんな自分が変わるなんておもって無かったけど、その時私は本当に殆ど死ぬ寸前だった。だから最後にお金でも使っておこうと思ったのかも知れない。リーフィアを買って家に帰った。誰も居ない家だ。一軒家でもう……私以外にはいない家。古びた家はとりあえずちゃんと掃除してるから、中は外ほどに痛んではないが、周囲の景観から比べると、随分とレトロチックな建物だ。近畿地方のそれなりに都会の街。でも私は普通にもっと田舎でも良かったなって思ってた。


 とりあえず誰も居ない部屋で私は初めてリーフィアを起動してそしてLROという世界に飛び込んだ。


「わあ……ん!」


 自分からそんな声が出たのが初めてだった。学校の修学旅行とかで景色良いところに言ってもそんな事を言ったことなかったのに……思わずリアルに感じるのに、リアルではあり得ない景色を見て、私は感嘆してた。まず建物が日本ではみたこと無いような建物だ。ヨーロッパはこんなのなのかも知れないが、そこにいる人々はまさに多種多様。色が白いとか黄色いとか黒い程度違いじゃない。まさに種族が違う。これが作れらた世界? 本当にそう思った。


 それからはLROにはまって、会社から生きて帰ってLROをやるのが生きがいだった。そうこうしてる内に仲間が出来て、色々と大変な出来事に巻き込まれて……LROも終わり……みたいな事があった。でも未練は無かった。結局死ぬまでの人生だから。でも終わりはしなかった。再び始まった。新たなLROはエリアバトルが追加されてた。でも興味なんて無かった。私的にはLROの世界が大事だから。その世界から離れたエリアバトルには興味ない。

 せいぜい一緒にやってる友達の助けくらいなら……だったんだけど……実はその友達にも言えずに私は別のチームを作ってた。いや、私が作ったんじゃない。ただなんとなく、手助けしたら、そのままなんか一員みたいな事になって……いつの間にか私がリーダーみたいになってて……そして今や関西最大手なんて言われる始末。リアルでもLROを初めてから色々と変わった。結局昔の会社は辞めて関東の方に出てきたし、今や関東と関西を毎週行き来する日々である。私はある会社の役員まで出世してしまった。そのせいで……忙しくも、なかなかに充実した日々を送ってる。


 でもずっと悩んでる。私は友達を騙してる。人生初めて出来た唯一と言っていい友。彼女にこのことをどう話すか……いや、実際話す事なんかできない。だって、私は裏で牛耳ってるなんて事に成ってるからだ。どうしよう……ホント。

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