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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ヘイ、マーサ! お久しぶり」

「おやおや、誰かと思えばあんたかい。急に来るんじゃいよ。ほれ」


 私は勝手知ったる――な体である一件の民家に入った。庭で花の手入れしてた白髪のおばあさんにさも知り合い風に声も掛けた。名前も呼んだが、実際彼女の名前はマーサではない。それはただの鍵のような物だ。組織には大抵協力者とかがいる。彼女はその協力者みたいな物だ。この人自体は別に普通に暮らしてる普通の人で間違いない。ただ、本当に協力して貰ってるだけ。だいたい協力者は彼女のような年老いて家に一人でいるような老人が多いデス。


 家族と同じ屋根の下で暮らしてるとどうしてもバレる確率が高くなるし、家族がいる人達はその家族を巻き込みたくないって思うのが普通だろう。だからこそ、こういう孤独な老人が良いのだ。私はドカドカと家に入って奥に行く。外から見えないような扉にこの鍵が合う筈だ。私は荷物が積まれた一角の奥に扉があるのを見つける。この国は無駄にでかい家を建てたがる人が多い。家族がいるときはもちろんそれでもいいけど、一人で暮らすようになると、途端に持て余す物だ。その一つを借り受けるのは難しい物じゃない。私は荷物を避けて扉に近付く。そして鍵を入れて回すとガチャッと音がして扉が開いた。


 その部屋はとてもほこりっぽい。まああのおばあさんもここは勝手に開けないだろうからね。仕方ない。部屋には大きなケースが三つある。私はそれに近付いて、自分の指をケースの四角い部分に押し当てる。勿論埃を吹き飛ばしてね。


『IDをお願いします』


 そんな機会音声が聞こえてきたから、私はそれなりに長いIDを言うよ。IDは物理的なメディアに残してはならない。それは私達の組織の決まり事だ。まあこうやって言うのも完全に安全って訳じゃないかも知れない。けどメディアを残すのに比べたら……多分――安全なはず。そこら辺は専門家でもない私には分かりようもない。ただ私は組織の方針に従ってるだけだし。


『照合完了。ご武運を』


 ご武運って……まあこんなのに頼る程って事でピンチって事を想定してるんだろう。私はまだそこまでではない。そこまでではないが、このままだと立ち行かなくなりそうだからデスね。追跡者がなにか行動を起こす……というか、奴らを振り切るために、アイテムが必要なのデス。何も使わずに奴らを振り切るって相当難しい。もしかしたら衛生とか使われてるかも知れないデスし。そうなったらもう地下を行くくらいしか振り切る術はないけど、この国は日本ほど、地下の交通手段が発達してるわけじゃないデス。


プシューといって自動的に開くケースからは白い煙が出てくる。この箱には最新鋭の機材と、そして武器がはいってる。それらを駆使して、私は戦うのデス!

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