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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 今日は卒業式だ。高校に入ってからと言うもの、この時へのカウントダウンが始まったわけだけど……まさかこんなに早くその時が来るとはおもって無かった。あっという間……まさにそんな言葉が似合う。整列した僕たちは最後の校歌を贈ってる。それが終わると、日鞠の奴が壇上へと向かう。その堂々たる様はまさにこの学校の生徒会長に相応しい。日鞠の奴はきっちりとした制服の着こなしに、もういつからつけてるか憶えてないほどの黒縁眼鏡。壇上に上がり、マイクの前に立つとまずは一礼。数秒を掛けたそんな一礼で眼鏡と三つ編みを整えて僕たちを見渡す。そして静かにマイクに手を添えて不快ではない音でマイクの状態を確かめてそして言葉を発し始めた。


「桜芽吹くこの季節――」


 日鞠の奴は原稿なんて見ずに情緒豊かに日鞠は語る。その言葉に皆が情景を見てるだろう。既に涙を流すものまで……そして最後に――


「以上をもちまして、私達在校生から卒業生への答辞とさせて頂きます。ありがとうございました」


 ――そんな言葉と共に締めくくった日鞠に卒業生の皆さんからも涙が溢れる。皆さん、希望の大学に合格してる。それこそ彼等が入ったときには考えられなかったほどの大学達に――だ。そう今日の卒業式は僕たちじゃない。三年生の卒業式である。三年生は皆、日鞠に感謝してるだろう。この学校は普通の学校だった。一年前までは……それこそ進学校って訳でもなかった。区立の普通の学校なんだ。進学を狙う子達は、もっと別の区の学校に行く……それが当たり前。


 でも今回なんと……東大合格者まで出てる始末である。僕たちが入って来た一年前、まさかそんなことにこの学校が成るなんて思ってる奴は居なかっただろう。三年生はそれこそ、一流と呼ばれる大学を目指すのはそれこそ学年一位や二位だけ……いや、それでも厳しかったはずで、進んで東大とかを受けてはなかったかも知れない。でも今回はなんとその東大や、他にも色々と進学先が広がってる。

 日鞠は大学で将来が決まるなんて思ってはないだろうが、それでも良い大学で将来性は広がるだろう。日鞠は将来を広げるために教育はあるんだっていってる。それを実現してるんだろう。さいしょはそれこそ二年も下の女子に勉強を教えられるとか、変なプライドがあるだろうこの年頃の男女には反発だってあったはずだ。けど一年しか無かったのにこれだけ進学先が凄い事に成ってるって事は、僕たちが普通に学校生活を送ってる裏で、日鞠は早くから三年生達に接触してたって事に成る。何せ受験は夏が勝負とかいうし……夏はLROで大変だった時期。日鞠も色々と動いてくれてたけど、更に三年生達の受験対策とかしてたんだろうか?

 そこら辺いわないからな。


 卒業式はつつがなく終わった。最後に校門まで卒業生を送り出すとき、皆が日鞠の側に集まってた。皆がそれぞれ感謝の言葉を言っている。日鞠は彼等に輝かしい未来を与える事が出来た。本当に、そういうことが出来る奴だ。

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