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「いやーサンキューサンキュー、お疲れじゃない? 大丈夫?」
「大丈夫です。心配してくださってありがとうございます」
軽い司会者に丁寧に対応している会長。流石に疲れてるわけ無いと思う。でも疲れてるとわかってるのなら、司会者のあのテンションは止めるべきではないだろうか? 絶対にあんなテンションの奴相手にしてたら、余計に疲れちゃうだろう。会長に同情しちゃうな。まあそんなの僕だけみたいだけど……
「エリアバトルの直後にあんな……俺達との戦闘はその程度の事だったって事か……」
そういってるのは異世界行き隊のリーダーの奴だ。爪を噛んでそんなことを言ってる。ガシガシガシガシ……と爪をめっちゃ噛んでる。噛みすぎだろ……と思う。とりあえず今の内にあいつとは距離を取っておこう。なんか恨まれてるからね。
「おい、ローレ」
「うん? 何を言う気かしらね? 面白そうじゃない」
ローレに声を掛ける掛けるけど、ローレの興味は映像の中の会長の方へと行ってるらしい。僕はそんなローレの横顔を見つめる。
(苦十のこと……言った方が良いのか?)
でもそれは今じゃないか。人が多すぎるしな。苦十の事……どれだけその存在が広がってるかわかんないし……でもあいつがこのLROでどれだけ暗躍してるかってわからない。実際それは結構危険な気もする。なにせ僕たちがこれまで関わってきた出来事とかにもあいつは関わってる。でもそれは僕たちが関わってるからわかった事だ。僕たちが関わってないことは当然わからないわけで……苦十の奴はきっともっと色々と暗躍してる気がするんだよね。
だからそのことは話した方が良い。それにあいつは僕がローレから離れることを願ってる。それも話さないといけないからな。でもここでは出来ない話だ。とりあえず今は皆が納得する為の説明を会長がしてくれることを願うしかない。そうしないと、僕たちの戦いが終わりそうにないんだよね。
「流石全チームの頂点に君臨してるチームだ! 今回のエリアバトルも見返してみると危なげなかったと言えるんじゃないかい?」
「いえ、そんな……私達も勿論必死でした。相手のチームも全力を出してきてました。決して楽な戦いではなかったですよ」
「ははは! そういうことにしておこうかな!」
司会者の奴が秋からにこっちのチームをディスってるから、こっちのチームの空気が悪くなってる。司会者屁の非難囂々だ。
「それで本題だが、この通り最後の判定に沢山の疑問の声が来てるんだよー。イヤー参ったね。判定してるのは私達ではないってのにさ。そんなこと言われても困るよ。そこで君の出番だ。君の全てを明かしてくれることで、きっと五月蠅い外野共も黙るってな戦法よ!!」
「努力しますね」
会長は笑顔でそう言ってるけど、なんかあの司会者は見てる人達をわざと煽ってるような印象を受ける。誰だあんなの雇った奴は。絶対に選択ミスしてるよ。それから最後の場面の映像が流れる。僕と会長の最後の場面だ。こうやって見ると……なんか恥ずかしいな。そんな気がしてきた。何せ僕が負けた瞬間だし……