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潮の音がきこえる。海に面したここからは内海が見えてそして海に面してるから強い風がよく吹く。その窓が風に当たってどんどんと怖い。まあもう慣れたけど……私はずっとここに居る。
「あら、もう良いの?」
「ええ、もう終わりましたから」
私は入って来た看護師さんにそういってお腹の所で抱きかかえてるリーフィアをなでる。看護師さんは私の体を検診して、点滴を代える。私の腕は枯れ葉のように細い。それは病気のせいと言えるし、そうじゃないとも言える。ただ私は、この点滴でしか栄養を取ることが出来ないだけ。そういう体なのだ。
「最近は随分と元気になったね。それ楽しい?」
彼女とはもう数年来の付き合いだから、私の変化には敏感だ。それによく喋る人だし、お喋りしたいんだろう。私の変化もちゃんとわかってる人だ。患者に献身的……けど口が軽いから彼女から色々とドロドロとした話も聞くことがある。というかちょっと前までは、そういう話ししか楽しみは無かった。
でも今は違う。私はリーフィアを引き寄せてギュッとする。そして言うよ。
「はい、楽しいですよ。だって私はこれがあれば元気な自分で入れますから」
「そうだね。世間では色々と言われてるけど、やっぱり必要だと私も思う! だって本当に言い顔するようになったもん」
そう言ってくれる看護師さん。でも私的にはこっちでの生活はあんまり変わらないから実感がない。私は「そうでしょうか?」とかいって顔をムニムニとする。すると看護師さんが私の手の上に自分の手を重ねてきてさらにムニムニされた。
「そうよ、今なら気になる男の子だってきっと落とせちゃうわよ」
そんなことを言われて私は目が点になる。彼女はきっと本当にそう思ってる。そういう人だ。でも……私は自分を知ってる。自分のこの皮だけの体を知ってる。女の子はねふわふわで柔らかくないとダメなんですよ。それなのに私の体は骨張ってて柔らかさなんて皆無だ。
「ふふ、なら頑張ってみようかな?」
「ええ、そういう人できちゃったの!?」
「ええ、とっても便利そうな人なんですよ」
「ちょっとーそういう感じ? 小悪魔的な感じで行くのー? まあ、ぽいっけどね」
「でもあんまり振り回しすぎると嫌われちゃうわよ。男はね飴と鞭が大事なんだから」
「経験、あるんですか?」
「ないけど……だって私、いつも全力だし!」
「そうですよね」
そういって私は笑った。私はリアルには何も求めてなんて無い。だけど、LROには全部を求めてる。こっちで出来ない事全部だ。それをやるまでは……死ねないよね。私は作り笑いしながらテーブルの脇にあるミカンを見る。