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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 仕込みはずっと最初から。もともとこのエリアバトルで私達が負けるなんて事は……あり得ない。最初から勝利が決まった戦いだった。後はどう盛り上げていくか。私達テア・レス・テレスがこの戦いが始まってから……いや始まる前からずっとどうしたら良いかを話し合ってたのは、そこら辺の事だ。


 普通はどう勝利するかを話し合う所だろうけど、私達はそこに重点を置いてはなかった。まあ負ける気が無かったってのが大きい。このエリアバトルの一回目も二回目も予定通りだったしね。私達は目標の玉を大幅に上回って手に入れる事が出来た。殆どは実はエリアの指定に使ってる。


 なにせ地の利を得ると言うことはめちゃくちゃ有利だ。連合軍は始まるまでどんなステージになるかわからない。けど私達はそれを知ってる。そしてそもそもが始まる前から私はコードをいじってたしね。卑怯? という声もあるかもしれない。


 でもそれも特典である。玉を駆使してエリアを指定したんだから、そのエリアは私達の領域だ。それをどうしようと、エリアバトルのルールの範囲内だろう。なにせエリアバトルで自分たちのエリアに色々と仕込むのは当然だ。てかそれが醍醐味だろう。それに対外的には私達は待ち構える側だしね。向こうは挑戦者だ。向こうにも挑戦者の自覚はあっただろうけど、多分ここが私達の城という感覚はなかっだだろう。それば甘いあまあまだよ。


 エリアバトルなんだから……そして自分たちが既に二敗してるんだから、考えれるべき全ての最悪から想定しておくべきだった。かといって私達も順調だった訳じゃない。なにせエリアなんていう大きな物を祝福で干渉するのは初めてだったからだ。おかげでこの戦いが始まってもしばらくは加わる事が出来なかった。


 最初籠に入ってたのは今の今まで仕掛けを調整してたからだ。そして今回使ったこちらのアイテム。紙吹雪に、皆に取らせた液体。そして敵側に仕込んでいったコード。コードは私への攻撃や、こっちのプレイヤー達への攻撃の度に仕込んでいった。


 それをなせるようにしたのはあの水だ。あれ自体が私の仕込んだコードだった訳で、エリアの全ての事象を制御してる私なら、プレイヤー達に次にどんな行動を取らせるか、どんな環境下にするかなんて造作もない。

 空に水なんてどんなギミックだよ――って思ったことだろう。けどここはゲームなのだ。皆そんな物なんだろうと思う。次のステージに行くためのちょっとしたギミックそんな風に捉えた筈だ。

 けど違う、水はプレイヤーに張り付き、時には飲んだものもいるだろう。祝福は接触してたほうが仕込みやすい。色々と出来る事は多いけど、直接的に何かをやるってなると、やっぱり接触するのが一番だ。


 そしてあの水は私みたいな物だった。あの水に触れた者達の情報……というかコードは私に流れ込んで来る。そして色々と仕込んだ。最後に残った私に誰もが一斉に攻撃した。私が死なないことに誰もが違和感をもった筈だ。

 けどそれは間違いで私はちゃんとやられてた。時々は。でも彼等にはそれが認識出来なかっただけだ。そしてそれでも彼等の勝利にならなかったのはこちらの柱分、彼等にはテア・レス・テレス側だとシステムに誤認識させたから。


 柱とは私の糧となって消えていった仲間達だ。彼等はただ消えたのでない。彼等はそのコードを連合軍のプレイヤーに写して消えていったのだ。システム的に実は彼等はまだあの時点では生きていて、消えたのは存在が統合されたからだ。


 連合軍は私だけになったと思っただろうがあの時点ではまだ違ったと言うことだ。でもそれを彼等知ることは出来ない。だって別にそれぞれのプレイヤーの残り人数は表示される仕組みじゃなかった。目視でしかそれは出来なかった。もしも常に残り人数が表示されるような仕組みだったら、誰かが気付いてたかもしれないね。


 でもそんなもしもに意味は無い。私達は常に見える範囲に注意を払い、考えれるべき全てと想像の産物までをも想定し行かなきゃいけないんだよ。そしてそれを怠った方が負ける。


 攻撃を受け続けられた理由は簡単だ。敵は敵であって味方でもある。それは精神論ではない。そういう風にしたのだ。だから時には受けたり、味方として認識させて直接的にフレンドリーファイヤとして無効化したりした。


 圧倒的にこっちが少なかったから人手が足りない? けど元々、私達は同数でスタートしたはずだ。そして、仲間への仕込みは始まる前から終わってる。勿論、最初からシステムを騙せるほどにコードを掌握はしてないからいきなり消えて貰うなんて不可能だし、向こうのプレイヤーに写せたのは最後の二十人くらいだけだ。


 その数になるまでには、ここまで消え入った皆の力を借りたのだ。やけに向こうは私達がしぶといと思ってた事だろう。なにせ地力では向こうが上だ。なのに数で劣ってるように見える私達を落とせない。それは私達にこれまでで消えていった皆の力があるからだ。


 忘れちゃいけないことがある。私は最初にそれを……そもそもこのゲームを始める前にそれをスオウから聞いてたから、そういう物だと思ってたんだけどね。


(LROは思いを汲み取ってくれるゲームだ)


 そう言うことである。このゲームは思いも力に変えられる。意思や、繋がりはシステムに深く絡まってる。私達テア・レス・テレスは連合なんて一度限りの関係なんて物ではない、もっと強固な物で繋がってる。なにせ私達は家族の様なものだからだ。


 勿論ただそう思うだけでパワーアップ出来るなら、クソゲー甚だしい。普段の頑張りとかは何だって話しになる。普通はそういう火事場の馬鹿力は一時的なものだし、なんとなくでもある。でも今回は都合がよかった。私達が支配したステージに仲間達と明確な敵。


 そしてその敵達は私達の罠の中に入ってきた獲物みたいなものだった。全ての準備は整ってた。消えていった者達の残した物を使い、敵のコードに干渉できるのなら、目算を狂わせる位は簡単だし、声をいじる事だってできる。


 確かにアンブレイクカンパニーのリーダーの確立変動はやっかいだったけど、声はただの声だった。いや、確かにあれには力があったけど、細かな所を別の言葉、指示に置き換えて、彼に帰って来る声を改ざんする事は簡単だった。


 彼は確かに優秀だろう。それは間違いない。でも個々から返される情報に敵の意図が挟まったら……それはもう操り人形と同じだよ。特に彼みたいな優秀な人ならなおさらだ。彼は残った仲間達をただ罠の中へと誘導してたに過ぎない。


 それにあの時、私が仲間達をなんとしても指定の場所に行かせたかった――用に見せてたのも実はブラフだ。別にそんな事に意味は無かった。なにせ既に完成してるのだから。ただ、勢い尽かせて飛び込ませたかっただけだ。


 そして今、私の見据える先にはローレちゃんがいる。彼女は消せない。なにせコードいじれてないからだ。


「ほんとやっかいなことしてくれるなあ」


 私はそうローレちゃんじゃない方に向けていった。

今回はちょっと長くなってしまいました。まあしょうがないですね。

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