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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 男色艦隊のリーダーがオリジン付加のナイフを使って会長が作った防御フィールドを壊す。多分アレは特殊な奴だったようだけど、オリジンの前では無力だ。あれをこの瞬間に直ぐに判断して託せるのは流石ギョクリじゃんって思った。


 そして私は用意してた魔法を誰よりも早く撃つ。ほかの奴らに花を持たせるとか言っといて誰よりも早く撃ってるじゃん――とか誰かがいいそうだけど、勝ちを逃すのがダメじゃん。私は負けるのは嫌いだ。それは誰だってそうだと思う。負けるよりは勝った方がいいのは当然。そしてその瞬間が見えたんなら、しょうがないじゃん。


 そのチャンスを逃すような私ではない。勝てば良いのだ。勝てば官軍。私は遅延させといた魔法を一つにまとめて最後に紡いだ詠唱に乗せる。普通はそんな事は出来ない。なにせ別々に完成させた魔法だからだ。そんな事をしたら反発してその場で暴発する。魔法と魔法がぶつかり合うんだから普通はそうなる。


 けど私はそんな魔法を混ぜ混ぜだ。そして更に膨れ上がったそれを魔法展開した錫杖を使って撃ち放つ。全てを無に帰す一撃。タイミングも完璧だったし、避ける術はない。それとももう一度今のを使うか? システム的に絶対の防御だとすると、私のこれでも多分ぬけない。でも今のをあのタイミングで使ったと言うことは――


(勝った)


 ――と私は思った。なにせ会長は防御も何もしなかった。魔法は直撃して、この場に閃光を放ち、世界を白く染め上げる。それに誰もが忘れてるだろうが、リルフィンが側にいたのだ。テア・レス・テレスが領域を作り上げた中でもリルフィンはそこにいた。


 リルフィンは精霊で、精霊はそもそもが曖昧な存在だ。力が強いから精霊ははっきりと見えるが、調整さえすれば、存在感をなくす位は出来る。普段なら会長は気付くだろう。でも――思いも寄らずに皆が会長の想定を上回った。だからこそ、意識がリルフィンから外れたんだろう。


「気を抜くな! 畳みかけろ! プッシュプッシュプッシュだ!!」


 アンブレイクカンパニーのリーダーがそういう度に、私の頭の痛さが引いていく気がする。うん? なにかあいつの力を見誤ってた? 最初の全体バフとは何か違う。でもそんな場合じゃない。まだ撃てる。今ので全てを出したけど、回復してる。

 私の魔法の真っ白な閃光の中に男色艦隊と異世界行き隊のリーダーが突っ込んで行ってその武器を振るってる。異世界行き隊のリーダーは纏ったユニットからビームサーベルだしてそれを振るってるし、男色艦隊のリーダーはその拳を振るって私の光を飲み込む大きな黒い力を弾けさせる。そしてそれらを何度も……


(おかし……くない?)


 私のその疑問に気付いた。そしてそれは私だけじゃない。アンブレイクカンパニーのリーダーも気付いてる。だからこそ、あいつは焦った顔をしてるんだろう。決まったはずだ。全てがかみ合って、引き寄せて、そして私達は出来る攻撃の全てを叩き込んだ。バラバラだったチームが協力した。

 そして力は相乗効果的に上がった筈だ。届いた……筈……なのに……私達に勝利の文字はまだ見えない。

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