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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 時は再び巻き戻り、ローレちゃんが用意した魔方陣に再び矢が戻って来てる。これで五回目だ。巻き戻すのにMPとかは必要ないんだろうか? LROは原則、正しく発動できればMPを消費する事は無い。それはあまりにも魔法を使う者に有利な仕様の様に思えるが、そうじゃなくてちゃんとバランスを考えた仕様だ。


 LROで魔法を使うには詠唱が必須だ。恥ずかしくても、それを省く事は出来ない。しかも初級の魔法以外はなかなかに長い。それを短縮する術もあるけど、どれもとても特殊な方法だ。前にシルクちゃんがやってたというストック魔法とかね。


 今、目の前のローレちゃんがやってる超高速詠唱……更にダブルやトリプルを組み合わせてなんてのは、普通はあり得ない。というか無理じゃない? どうやってるのか謎すぎる。もしかしてそれも時魔法を使ってるのかもしれない。契約者は契約した精霊の力を使えるだろうしね。私やスオウの祝福も精霊の力を使えるもん。祝福ではなくて、契約でも違った形で使える筈だ。というかこっちにはコードを操れる特典みたいなのあるし、契約の方が精霊との協力的な力を得られそうではある。


 まあ、契約と祝福を併用できないから私に確かめる術はないんだけどね。


 でも速く詠唱できる事は確実なメリットじゃない。なにせLROの詠唱はシビアだからだ。ストック魔法なら、事前に詠唱した魔法をストックしてる物だから、戦闘中に詠唱の間違いをなくしたり、即時発動が出来たりとメリットばっかりだけど……高速詠唱なんて普通ならリスクしかない。


 なにせ早く口を回すと言うことはそれだけ噛むリスクが増える訳で、それに同時に詠唱なんてのは、詠唱自体がこんがらがる可能性が倍率ドン!! だよ。特にローレちゃんが何気に使ってる魔法……いや何気に使うにはレベル高過ぎな奴なんだけど――どう考えても詠唱が長い筈だ。それを同時に更に間違わずになんて……普通は出来ない。


「さあ、どうする?」


 そんな声が聞こえる。ローレちゃんは私がどうするのか見たいらしい。それだけ余裕があるのか……私はチラリとスオウを見る。時魔法で縛られたスオウはメノウの力に干渉してるんだろう。目を閉じて集中してる。でもこの時間でスオウはピンチに拍車が掛かってるが、冷静さはきっと取り戻しただろう。

 時魔法に干渉するだけじゃなく、スオウなら他の可能性もあることを考慮に入れとかないとね。なにせスオウだけだ。


 スオウだけが、私と同じ祝福を持ってるんだから。


 再び巻き戻って魔方陣から放たれようとしてる矢。そのスピードはかなりの物で見えたら当たってるレベルだ。でもだからこそ、動いてれば確実に当てる事は難しい。それこそ未来予測とかしてるのなら別だけどね。実際あれってピンポイントに当てる必要がない矢だと私は思ってる。


 本当は大雑把な所に飛ばせば後は爆発する類いじゃないかってね。だってあれだけの魔法が単体攻撃用とは思えないからだ。既にローレちゃんの矢が幾ら巻き戻ろうと私に当たる事は無い。確かに何回も制約無しに撃てるのは強力で凶悪だ。

 でもこれだけ見せてくれたらどうにかいくつかの手段は取れる。あの矢に直接干渉できればそれが一番だけど、それは無理っぽい。流石にスオウを取り込んでるだけあって、祝福の事をそこらの人達よりも理解してる。でも私とスオウは違う。


 それはもちろんローレちゃんもわかってるだろうけど、きっと彼女はそれが見たいんだろう。だから見せてあげる事に――


「ちょっ!」


 ――なんかいきなり足場がなくなっていく。どうやらリルフィンが攻撃してるようだ。まあ仕込んでた足場がなくなっても問題はない。なにせいくらでも作れる。そうおもって私は更に紙を取り出す。


けどその時、私の服の中から、ささやかな風が吹いた気がした。そして次の瞬間にはそれが勘違いなんかじゃなかったとしった。


 私の上着を無理矢理あけさせてその風は暴れ回る。そのせいで仕込んでた紙が大量にばらまかれる。必死にペンだけは死守するけど、これは完全にやられた。そう思ったとき、私の体をローレちゃんの矢が貫いた。まるでスオウにやったことのお返しとばかりに……

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