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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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(少しは頭を冷やしなさい)


 私はスオウの動きを阻害して、あいつの叫びを無視してそう思う。HPを見てたから、あいつの時間が無いのは知ってる。けど……今のままであいつを戦わせる訳にはいかないよ。あんなんじゃ役に立たないしね。自暴自棄になってる奴なんて迷惑なだけだ。それに焦るあまり、スオウは視野が狭くなってる。あいつの強さの一つがあの目なのに、自分から狭くしてどうするのよ。時間が無いからって焦ったらそれは向こうの思うつぼだ。確かにスオウに残された時間は少ないだろう。でも、あいつの速さなら、焦る必要なんて無いんだ。

 一分……いや、数十秒あれば、プレイヤーを一人道連れにするくらい出来る。出来る筈だ。だから今は少し頭を冷やしておきなさい。その代わりに私がやろう。しょうがないからね。本当はスオウに併せて私が全部貰い受ける気だったんだけどね。スオウが会長と相打ち出来ればそれでいい。でも出来ない時は私が倒す。二段構えでそうする気だったんだけど……しょうが無い。


 私はそんなにお人好しじゃないんだけどね。まあ会長を倒せば大金星だ。特に私かスオウかどちらかがそれをなせれば、その後にあいつらが負けたとしても、私は負けてないと言い張れる。いや、私達チームはまけてないって事だ。そしたらふふ……次の作戦だ。私にとってこの戦闘での勝利と敗北はどっちでも良い事だ。既にエリアは得てるし、勝てれば更にエリアを私は得れる。既に私には不利益はないのである。

 だからあんまり見せたくないってのもあったけど……スオウが限りなく、いや想像以上にその力を行使できれば良かったんだけどね。でもしょうが無い。たまには私も派手に働いてあげようじゃない。私に攻撃を届かせる事が出来る奴はほぼいない。それこそさっきスオウに使った玉の特典とかくらいだろう。まあ会長が改造したスキルならなんでもありかもしれないけどね。 でもこの段階で私にはほぼ攻撃が来てないところから察するに、私は安全圏にいるとみていいと思う。空飛んでるし、それなりに上に居るからね。


 私は上で、その他は下。それは会長もスオウも変わらない。


「まずは小手調べ」


 シャランと錫杖が奏でる四重奏と共に、空に大きな魔方陣が四つ展開される。その四つそれぞれに白い巨大な矢が現れる。照準は勿論会長だ。この四つをあの場所に落とすだけで、戦場を大混乱に陥らせることが出来るだろう。でもそんな事はしない。狙うはただ一人、会長だ。ヘタに戦場を混乱させたら、その責任をもしも負けたとき、文句言われるかもしれないし、もしも勝ったときも文句言われるかもしれない。そういう隙は私は見せないのだ。


「リルフィン、そいつを飛ばしなさい」


 その指示通りに、リルフィンが会長を空に飛ばした。飛ばしたのか、それとも飛んだのかは定かじゃないが、まあ今はどっちでもいい。


「いけ」


 私のその声とともに、矢がまずは一本、筋を引いて放たれた。そして続けざまに残りの三本も放たれる。一寸の狂いもなく矢は会長へと吸い込まれる。そう吸い込まれる筈だった。

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