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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「つっ! スオウ――君!」


 私は思わずスオウに駆け寄るデス。一瞬素が出かけたけど、皆私になんて注目してないし、私は戦闘にもほぼ参加してません! 参加してません!! いや、流石にここまで来ると、私ではほぼ役に立たないんデス。寧ろ生き残ってる私の取り巻き二人に助けて貰ってるくらい。テア・レス・テレスも私が雑魚だと判断したのか、積極的には狙ってこないし、正直暇してた。私があたふたしてると、あのスーツの厳しい目つきの人。たしかアンブレイクカンパニーのリーダーが凄い目つきで睨んで来るんデスよね。なので側で大人しくしてたんだけど……流石に最前線、しかも向こうのリーダーと戦ってたスオウが吹っ飛んだら誰もが驚く。けどそれを締めて彼は普通にしてる。

 なんとか渡り合える様に、周囲を導いてるデス。会長の奴はあの白いオオカミが追い打ちを掛けてる。けどなんとなくだけど、届かない気がする。届くとしたら……私は地面に倒れてるスオウとそして、空中にいる可愛い子をみるデス。四つの杖を四方に展開してる彼女。そして彼女を包むようにベールを被った怪しい女性が、彼女を抱きかかえる様にしてる。薄い彼女は時々見えなく成ったりするけど、確かにそこにいる。


「けど今は!」

「チルチルちゃん!!」

「皆自分の役目をしてください!」


 これは私のわがままデス。自分はこの戦いなんて正直どうでもいい。私は駆け寄る過程で詠唱を口ずさみ、近付いてから直ぐに回復魔法をスオウにかけます。でもダメだ……回復魔法の効果を受け付けない。


「どうして?」


 わからない。いや、多分あれのせいデス。スオウの背中から出てるなにか。白いそれがスオウ自体に白いエフェクトを付与してるように見えるデス。私はそれに触ろうと手を伸ばすデス。けど――


「いつっ!?」


 ――バチッとなって私の手を拒絶する。これは触れない奴っぽいデス。回復魔法も回復役も、この何かを引き抜くことも出来ない。本当にここでは何も出来ないデス。何か出来ないか考えるけど、わからない。私の持ってる情報じゃ、これに対応できない。そもそもこのスオウから出てる白いの何? 矢? 


「ぐっ……」

「スオウ君!」

「何……が?」

「う、動かない方が……HP削られてますし……」


 どうやらスオウ自身も何が起こったのかわかってないみたいデス。それなのに武器を手放してないのは根性? これだけは離すまいって根性なんだろう。それに……その視線は前だけを見てる。私に気付いて無い? ちょっとムッとする。でも今は私はチルチルなのだ。ムッとした心はしまう。


「これは……」

「その矢が回復魔法とか、回復薬の効果も打ち消してるみたいです。それに刺さってる間は永続ダメージみたいですよ」

「そっか」


 スオウは矢に気付いた。けど引き抜こうとしたら私と同じようにバチッとなった。そしてHPを確認する。ザワッとするかの様な風が私の肌をなでる。


「まっ――」


 私が言葉を全て紡ぎ終わる前にスオウは私の視界から消え去った。

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