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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 その時間は何秒だっただろうか? 五秒? 八秒くらいは経った? たったそれだけの秒数だけど、今の僕には一秒は長い。それだけの早さで動いてる。会長はそれでも僕を追ってる。追いすがろうとしてる。そこは流石だ。本当に凄い奴だよ。僕は今、自分の一番の強みを出してる。LROでスピードが……それだけが僕の誇れる武器で一番自信がある力だ。


 風帝武装を使って空間を立体的に使ってのまさに、自分が乱気流みたいなったかの様な連続攻撃。会長と交差するときに、僕は有に十回はその体に刃をいれてる。でも……それでも……会長のHPはなくならない。見てる限り、ちゃんと減ってる。でもゼロにはならない。しぶとく残り二割くらいでとどまってる。常に会長の奴のHPを気にしてるから何故に会長の奴が倒れないか……それはわかってる。

 単純だ。それは会長がHPを回復してるからだ。それ以外にない。本当に単純明快――それだけ。でも僕は一秒よりも短い刹那にHPを削りきる攻撃をくりだしてる。それは自信過剰とかではなく、確かにそうなんだ。僕の幾重にも及ぶ攻撃で、会長は事実、何回も死んでる筈だ。何回もHPが尽きてる筈だ。けど、目の前に会長はいる。消えていない。死んでは居ない。焦る――


「かはっ――」


 肺が空気を求めて口を開けさせる。でもそれは無駄な行為だ。確かに人にとって空気は大事で、生きてく上で絶対になくてはならない物だ。でも……ここはLRO。忘れそうになる。普通に空気をすって、息を上げたりするから、こっちでも普通に息をしてる感覚になってる。でも実際は違う。こんなのは、ただの本能で違和感をなくすためのシステムでしかない。この肉体に肺なんてない。空気なんていらない。そう言い聞かせろ!!

 会長がどうやって回復してるのかわからない。多分、祝福でそういうシステムを構築してるんだろう。なにせ回復薬を普通に使っても、この速度で回復できるわけない。なにせ色々と演出がある。回復薬を飲む――体が光って温かくなる――HPが回復する――そんな段階がある。でも……会長にはそんな目に見える変化はない。けど、確実に回復してる。しかも速効だ。演出を省いて効果だけを直に取り出してるのかどうかしらないが……それなら、更に速く――もっと速く――


(更に一歩先へ!!)


 バチンと片方のフラングランの宝石から雷がはじける。忘れてるかも知れないが、フラングランは風と雷の剣である。風の精と雷の精がこの剣には宿ってる。そしてアイテムの札……と言いたいところだけど、取り出し操作してる暇もない。ジェスチャー操作があるが、両手塞がってるし無理だ。ならこれでいくしかない。これと雷の祝福で足りない力を補おう。元々僕は風に比重を割きすぎてる。しかも今はエアリーロの補助も受けてて、風帝武装はいつになく完璧な状態。この終盤戦でこれは奇跡といって良い。でもだからこそ雷が出づらい。でも風を下げるなんて選択肢はないと思ってる。

 どこかを妥協したら、会長には届かないし、こえられない。僕はあいつの想定を……想像を……そして願いを超えないといけない。それは仲間達の思いでもある。


(引き上げろ! この一瞬だけでいい。苦手意識は捨てろ!!)

「天嵐昇華」


 風と雷を併せ持つ其れは嵐……更に一段階、僕のスピードは――


「づっ!?」


 ――次の瞬間、僕の意識が飛んだ。視界が消えた。何が起こったか僕にはわからない。気付くと地べたを転がってた。

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