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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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『空間干渉系の魔法なら効果有り。一応伝えておいてあげる』


 そんな一方的な通信だけを寄こすローレ。本当にあの女にはホウレンソウをその身にたたき込みたい位だ。まあだが唯我独尊の奴が報告してきただけ、仲間意識くらいはあるんだろう。それに結局は未だにあの腕をどうにかしたのはあの女だけ。


 早さなんて物を競ってはないが、あの女の勝ち誇った様な顔を想像するだけで腸が煮えくり返る……


(ふう……いかんな。落ち着け。全てを把握して知り得てそして最善の一手を取る。それだけだ)


 私の周りにはいくつものウインドウが開いてる。それは許可を得た者達のステータスとさらには敵側の体力を出来る限り把握した物だ。テア・レス・テレスはあの腕を招喚した事でこっちが浮き足だつのを待ってる。突然の挟撃……確かにそうならない道理はない。


 だが、こっちだって様々な想定はしてる。そして一応こちらにも玉の特典はある。ゼロではなかったのだから当然だ。ただそれはまさに切り札。その使いどころは私に委ねられてる。それを使えば、ここは簡単に危機を脱出出来るだろう。

 でもそれは悪手だ。まだその時じゃない。それにこちらにはまだコマがある。


「そろそろ、動いて貰うぞ」

「ようやくか、嫌われてると思ってたよ」

「別に君の事は嫌いじゃない。だからこそ、再三、あんな脳筋は捨ててこちらに来いと誘ってる」

「家のボスがただの脳筋じゃないってことは知ってるでしょう?」

「ふん、それにしても、あいつには勿体ない」

「評価して貰って嬉しいです。けど、僕はあの人の男気に惚れてるんで、いくら誘って貰ってもそちらのチームに鞍替えする気はありません」

「わかった。貴様の相手だが――」

「前ですか? 後ろですか?」

「後ろだ」


 こいつの聖剣ならあの存在も斬れるだろう。それだけの武器だ。聖剣の一撃は空間を一部切り取ってるのは知ってる。なら、ローレとの情報を照合してもいける筈。今までこいつを温存してたのは、その強すぎる攻撃力のせいだ。


 今、我らは追いつめられてる。数的にはこちらが倍以上いるというのに……だ。敵に与えたダメージが一定値こちらの誰かに跳ね返ってくるという現象……そしてあの腕。攻撃も防御も一見不可能に見えるあの腕から迫られたら、恐怖が募ってもしかたない。


 それにあれで削られた時に、どこかで通ったダメージが適用されたら……知らずに退場になるだろう。それに後ろの腕に攻撃や防御が無理だとなると、自然と前に居るテア・レス・テレスに攻撃を集中せざる得なくなる。そうなると、更にダメージの分配? というか、それが多く起きるだろう。


 ならやはりこちらが不利になる。だからこそ、真っ先にあの腕をどうにかしないといけない。いけ好かないが、ローレの選択は尤も正しかったと言うこと。


「本気でやっていいんだよね?」

「あれを斬れないようでは貴様に失望する事になる」

「わかったよ。家の大将の為にもそれは不格好だからね。本気でやるよ」


 そう言って男色艦隊のイケメン王子が歩を進めていく。男色艦隊では異例の白い鎧に実を包んだ男。青いマントをはためかせてその腰に挿した剣を抜く。幅広の青い空の色の剣だ。刀身の柄に近い部分に、黒い何かがはまってる。それは異質な黒ではなく、美しいと思える黒い球体だ。まるで星空を詰めた様なそれから、まさに星があふれ出す。

 そして、奴は剣を一閃した。

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