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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「やっぱりローレさんは厄介だね」


 私は余裕を持った笑みを崩さずにそう小さく呟いた。やはりだけど、ローレさんは一人にするべきだったと思う。けど、大手チームのリーダー達をどう割り振ってもどこかがきつくなっちゃうからね。これは仕方ないことだ。本当はここまでの間にリーダーの一人くらいは落としたかったんだよね。


 でもそれはかなわなかった。やはり大手のチームでリーダーをやる人たちは伊達ではない。皆それぞれこっちの想定以上の動きと力を隠し持ってる。それに想定以上に連携がとれてるのも、上手くいかなかった原因だね。二回目までの戦いはそれぞれのチームに協力者達のプレイヤーがついて行ってる感じだった。


 まあ協力してるプレイヤー達はいまでもそうだけど、上の方針……というか指揮系統が一つにまとまってるのが見ててわかる。前は連合だったけど、やっぱりそれぞれの大手チームで動きが違ったもん。けど今は違う。まあ流石にこうなってしまうと、それぞれのエリアでやるしかないんだけどね。でもなるべくチームをバラバラにシャッフルしたにしてはなかなかに苦戦してる。

 

「まあ、苦戦って言っても想定範囲内だけど」


 ローレさんの凄まじい並列魔法とでも言うべき多重詠唱を私はヨハネのペンで邪魔していく。実際あんなの撃たれたら数が少ないこっちはやられちゃうよ。一人で十人……いや、百人分の詠唱をこなすとか頭おかしいとしか思えない。


 流石にそんなの私でも無理だ。けど詠唱を挟む関係上、祝福というシステムに直接干渉できる私の方が有利だ。完成させるのは大変でも、課程を邪魔するのは簡単なのだ。雑音をちょっと挟むだけでいい。それで詠唱は破綻する。破綻した魔法は発動しない。


 それでも同時にこれだけの詠唱を続けてるのは、本命を隠す為なんだろうと思う。流石にこの多さだとランダムに発動間近の奴を消し去っていくしかない。けど……違和感もある。


(もしも、ローレさんが発動までのタイミングまで操れるとしたら……)


 私は既に彼女の術中にはまってるかもしれない。そういう意図を僅かに感じてる。前衛も男色艦隊のリーダーさんを抑えるので一杯一杯だし、ちょっと見通しが甘かったか。それにローレさんは『確立』に加わってない。ちょっとダメージに意識が行けば、流石にこれだけの同時詠唱は彼女でも無理だった筈。

 ままならないね。


「ほんと、全部スオウのせいだよ」


 私はそう呟いた。けど、直ぐに気を引き締めて彼女と向き直る。実際、私とローレさんが激しい応酬をしてるとか、外から見たら全然わからないだろう。けど、ここで負ける訳にはいかない。なぜなら、私は二度負ける訳にはいかないんだ。それこそスオウ意外に負けるなんてありえない。


「だから勝ちます」


 私はそっと勝利宣言をしておく。

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