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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「あのバカ……」


 不思議な矢に貫かれたローレを見て僕はそう呟く。あいつは強い。あの程度じゃやられないだろうが、基本自分以外を下に見てるからいつかこうなるだろうなってのは思ってた。僕は抱いてた彼女を仲間の元へとおいてローレの所に駆けつけようと床を蹴った。


「あっ――」


 何か言いたそうに一瞬彼女が手を伸ばしたが、僕には届かなかった。僕と同じように別の攻撃がローレに向かってる。僕はそれをフラングランで切り伏せる。そしてローレを再び荷物みたいにもった。


「おもっ!?」


 なんかめっちゃ重いぞ。自分に重りがあることを加味しても重すぎる。さっきはこんなに重くなかったぞ。


(女の子を重いとか失礼でしょ? 軽々しく持ってアピールしてなさい)


 涼しいローレの声が頭に響く。全然ピンピンしてそうな声だ。僕はぐったりとしてるローレに視線をおと――。


(視線を向けないで、攻撃来てるわよ)

「くっそ!」


 計らずしも、抱えたローレをかばってるから大変そうになった。いや、実際そうだけど! とりあえず肩に重りが一つあるから、もう一つの重り事ローレを逆側に配置してバランスだけはとる。


「にがさんぞ!」

「うおっ!?」


 なんと下からずっと追ってきてた奴らもここで追いついてきやがった。面倒な。どうやらテア・レス・テレスはそれぞれの場所で戦いながらも、余裕ある奴らがこっちにも攻撃をしてきてるらしい。それに対して、こっちの奴らは少しでも攻撃の手が緩んでる間に押し返すべく攻勢を強めてるみたいだった。


(優しさが足りない……)


 まあこっちを気に掛けて負けるなんてイヤなんだろうけど……魔法やら矢やらにスリングショットも加わって避けるのも難しくなってくる。けど案外足場とかを上手く使えば盾になるからそこら辺はよかった。


(おい、いつまで死んだふりしてる気だローレ!)

(その矢が厄介なのよ。あんたもずっと狙われてるから気をつけたほうが良いわよ)

(お前と違って僕は棒立ちなんてしないぞ)

(私だって絶対に安心って防御してたわよ。それらを突き破ってきたのよ。きっと特典武器ね。チートな力有してる。確立必中で当たる矢とかあってもおかしくないわよ)

(まさか……)


 そんなのあったらとっとと使うだろう。あるのに使ってないのなら、それも目的があるんだろうけど、結局はローレの想像だ。確かにローレの防御を抜いたのは事実だから、警戒はしとかないといけないかもだが、それにビクビクしてると動きが悪くなる。ってまてよ。


(オリジンを使うか?)

(それはダメ)


 何故かきっぱりと拒否された。なんでだ? オリジンなら矢をぶっ壊すのなんて簡単だ。


(色々と理由はあるけど、今風帝武装解除して大丈夫なの?)

(それは……)


 確かにオリジンで風帝武装の様に回避をするのは難しい。けどローレが今すぐ動ける様になるのなら、それでイーブンじゃないか? 


(オリジンは切り札でしょ? そんな簡単にみせてどうするのよ)

(最初にみせたけど?)

(あれはあれで意表を突けたから良し)


 まあ確かに。あれには意味があった。つまりここはオリジンなしでも切り抜けられるって事か? そんな事をローレと喋ってると、クイッと体が引っ張られる感覚があった。


「なんだ?」


 体が重い。いや、重いのはローレと重りがあるからそうなんだが、そうじゃない。なんか体が引っ張られる。僕は目をこらして自分をみる。するととても細い糸が体にからまっていた。まさか、目に自信のある僕のこの目をくぐり抜けて体にまとわりつくなんて……腕と足が引っ張られて大の字になる。


 幾ら力を振り絞ってもびくともしない。まさに蜘蛛の巣にとらわれたように僕は捕まった。

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