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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1222

シャランシャラン


 そんな音が聞こえる。それはローレが持つ錫杖から聞こえる音だ。そしてそれがなると、なんとなく魔法が放たれる印象がある。実際はあいつはちゃんと詠唱してる。ローレの奴は体外規格外だが、ちゃんと規格に沿った戦闘方法をしてるから意外ではある。


 あいつの力は突出してる。けど、戦い方は案外王道なんだよね。


「くっ!」

「逃がさないっていったわよね?」


 姉妹がどうやって短距離転移してたのか、今のでその原因が見えた。奴らの杖はそれぞれ一つの事しかできない仕様だ。なら杖でやってるわけじゃない。別だ詠唱さえすれば杖とか物がなくても魔法は使える訳だから、詠唱だけやってるのかとも思ったが、それにしては再使用が早かった。


 まあけど、そこは僕は魔法使わないから詳しいわけでもないけど。それに向こうは三姉妹だ。全員が同じ魔法を覚えてローテーションしてるとなれば、続けざまに使う事だって不可能ではない。けど今ローレから逃げようとしてた奴らの手から紙が滑り落ちてた。


 ローレは錫杖をふるって黄金の楔を出して三姉妹を拘束する。僕は三姉妹の一人が落とした紙を空中で回収した。あの三姉妹はもう逃げられないだろうし、ローレの自信満々の顔見たら、大丈夫かなって……ね。結局あいつに頼った形だけど、別に一人で戦ってる訳じゃないんだし、良いだろう。頼れる物は頼らないと。


 それにローレは頼れる奴だ。動くまでが遅いけどね。だいたいあいつ、腰上げるのが重いからね。別段歳食ってる訳じゃ無いと思う……わかんないが。でもなかなか前には出たがらない奴だ。他人を信用してないくせに、自分でもそうそう動かないとはこれいかに……


 僕が紙を確認してる間に、ローレの近くで炎と雷がはじける。どうやら三姉妹の内二人が最後のあがきに杖を振るったようだ。もう逃げる事が出来ないのならって事だろう。あの近距離ではよける術はない。けど、ローレは健在で、そして放たれた炎と雷の魔法も周囲に広がってはなかった。


「なっ!?」


 三姉妹が驚愕してる。それもその筈だろう。僕だって驚いてる。けど僕の比じゃないくらいにあの三姉妹は驚いてるだろう。なにせ黄金の楔が魔法までも絡め取ってるからだ。あんな万能な楔があるならもっと早く使ってほしい。


 ローレは自分の力をめっちゃ出し惜しみしてるからな。まだまだ僕がしらない力を隠し持ってるんだろう。僕はほぼ、ローレの奴に教えてるというのに、不公平感が半端ないな。


「驚くことじゃないわよ。だってその楔は呪いだもの。縛った者に掛けられる呪い。攻撃が出来ないわけじゃない。弱くなるんだけどね」


 すると確かに杖から出た超範囲魔法が弱々しくなって周囲に広がる。もしもこれが一点突端の魔法なら、もしかしたらあの楔でも減衰させられてもまだまともな威力があったのかもしれない。けど、超範囲を実現するために、威力はそこそこだった訳だから、その減衰はかなりの痛手で、これならはっきり言ってよける必要性もなかった。


「「「ふひっひひひひひ」」」


 何故かいきなり三姉妹が声を揃えて不気味に笑い出す。既に勝負は決してる。エアリーロがその手の杖を風を使って壊した時点で奴らにはもう何もない。なのに……


「はあー、やっぱりこうなっちゃったね」

「そうだね」

「けど、会長のいってた時間は稼いだよね?」

「そうね。きっとご褒美があるわ」

「やったね」


 三人でそんな話してる。そこに悲壮感はないし、悔しさもみえない。彼女たちにとってはこれはあくまでゲームなんだろう。そしてそんな三姉妹を見て、ローレがニヤリとわらった。あっ、なんかSっ気出てる。懐柔しやすそうとか思って壮な笑みだった。

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