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「ち……チルチルちゃん……」
なんか私の仲間が引いてるデス。まあそれもしょうが無いデスね。なにせ私はか弱い女の子……を演じてましたし。私が実はか弱いチルチルちゃんじゃなかったという事実に彼は驚いてる。そんな事をやってるとやられますよ? そっちだって余裕があるわけじゃないでしょう。
「やめ――止めて……」
「それで止める訳ないでしょう」
顔は守ってますけど、マウント取ってるからどこだって別にさせます。でも実際そんな芳しくない。ダメージの通りが悪いデス。やっぱりなんのスキルもない私ではナイフつかってもただのナイフでしかなさそう。リアルなら、ただのナイフで人一人殺すくらいは十分なんですけどね。
ここではただのナイフではプレイヤーを一人殺すのは役不足みたいデス。そんなことを思いながらもザックザックと刺してたけど、ついに私の相手がキレた。
「止めろって言ってんだよ!!」
そう言って彼女から衝撃はみたいなのがでて強制手に距離をとらされた。ダメージは微々たる物です。あれは後衛が距離を開けるためによく使うって聞くスキルなんでしょう。私は持ってないですけど……
「ああ~、全く弱そうな奴を選んで楽しようと思ったのに……これじゃあ点数稼げないじゃん!!」
そう言って立ち上がった彼女を光が包む。詠唱……って私はつぶやく。詠唱してなかったよね? なのに魔法が発動してますが? 一体、何をした? しかもさっきまでの女の子然とした雰囲気がなくなってます。まあ、見た瞬間からこいつぶりっ子だなってわかってましたけどね。
ぶりっ子はぶりっ子を見分けることが出来るんですよ。
「やってくれたけど、あんたはやっぱり雑魚みたいでよかった。ぶりっ子解いてもその程度なら、問題ないからね」
そう言って彼女はかざした手をバチバチさせてる。やっぱり詠唱なんてきこえない。おかしい……何かからくりがあるはず。でも、それを探してる場合じゃない。
「と、逃亡します!」
「は? おい!!」
私は逃げ出した。そこにためらいなんてない。敵前逃亡? 別に罰があるわけでもなし、生き残るためには逃げることもするデスよ。なにせ私は弱いんです。彼女が言うとおり、私は弱っちいんですよ!! 結局リアルのように体を動かして、ちょっとは接近戦で有利に立とうが、スキルも何もそろってない私には、そこから先がないんデス。
なら逃げるしかないじゃないですか!
「チルチルちゃん! 待って!」
「ごめんなさい。後は任せますね」
私はそう言って戦ってる人々の合間をぬっていく。掛けててよかった移動速度をアップするバフ。混戦だから、むやみに魔法をぶっ放す事も出来ないようですね。戦いの合間を縫ってるから誤爆を注意しないといけないですけど、そこは皆さん私よりも強いでしょうから、頑張っていただきたい。
私はこの透明なステージの端っこから勢いよく飛ぶ。皆、敵がいる前しかみてなかったが、私は周囲に視線を走らせて、この透明な足場の位置をちゃんと確認してた。光の当たり具合で見えてたりしてたし。だから迷いはないです。
私のせいであの場では不利になるかもしれないデスけど、居てもそこまで変わらないし、どうにかしてくれることを信じますよ。でも問題はこの先に行っても戦場と言うことデスね。どうしましょう? 出来るなら、こっちが圧倒的な有利な場所に行って紛れてたいです。そんなところがあれば……ですけど。