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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 私の方へと向かってきてる人は見たところ後衛の様だ。だって服装はゆったりとしたローブのような服だし、なんたって武器は杖だ。まさに魔法使いが持ってそうな古びた杖を彼女は持ってる。そしてその杖には紙が貼られてる? ぱっと見はわかりづらい。けど、注意深く見るとわかるデス。


 私はいつだって何時だってふざけてるように見せて人間観察してるデス。だから気付いた。確か会長の武器はペンと紙でした。なら……


(やっぱり)


 周囲のテア・レス・テレスの奴らの武器にはやっぱりわかりづらいが紙が貼ってあった。杖が全体に貼られてるのはまだわかるデス。けど刀身むき出しの武器にも貼られてるのはどうなの? と思う。まあここはデジタルな世界だし、刀身の切れ味なんてどうにでもなるのかもしれない。


「ファイヤーボール!!」


 それは初歩的な魔法だった。私だって覚えてる。詠唱も短いから使い勝手は良いが、そこまで威力があるわけでもない魔法だ。私くらいの初心者なら重宝するだろう魔法。けどこの戦いに駆り出される様なプレイヤーが使うような魔法じゃない。その違和感を私は感じた。


「うぐっ!?」


 彼女の放ったファイヤーボールは私が知ってるそれとは全く違ってた。なにか小さな炎の玉で、それがとても速く直進してきて私の肩を貫いた。そして貫かれた箇所が熱い……どうやら外から焼くんじゃなく、中から焼く感じに変わってるみたい。


「チルチルちゃん! クソ!! 退け!!」


 そう言ってこっちに来てくれようとしてくれてるけど、あんまり期待出来なさそう。まだ誰も倒れてないから、一人につき一人が相手をしてる。だからまだ均衡を保ってる。でも、それも時間の問題だ。だって、この場合、真っ先に私が倒されますよ。


 そうしたら均衡が崩れて二人を相手にしなくちゃいけない奴が出てくる。そこから更に三人・四人……となっていったら、もうダメ。こっちが先にテア・レス・テレスを倒す確率はどのくらいなんだろう? それが可能な奴がいるでしょうか? 確かに地力ではこっちのプレイヤーのほうがあると思う。でもそれを埋める術なんていくらでもある。


 それに向こうはこっちにも前衛の奴らが何人か来てる。テア・レス・テレスはこの場に居る全員で攻めてきたデス。後衛でもやりようによってはちょっとの間なら近接線でもやりようはある。だからこちらの前衛を抜けさせて私たちの方にいくらか前衛を送り込んで来たんでしょう。


 ある程度近づけば魔法は撃ちにくいし、手数は圧倒的に武器を振り回す方が早い。数を減らすなら、後衛に後衛をぶつけるよりも、前衛をあてがった方が絶対にいい。なにせやっぱり私たちの様な後衛は装備も魔法を中心にした奴で固めてる人が多い。物理よりも魔法の攻撃を強めるか、相手の魔法を弱めるか……とかだからね。物理攻撃には弱い。


 それで考えると私に後衛の人が来たのは運がよかったのかも……でもやっぱり彼女は私なんかよりも全然強い。強い……けど!


 私は仕込んでナイフを投げる。彼女は「きゃ!」といってよけた。驚いてよけたから尻餅ついてる。動きは完全に知ろうとデス。私は彼女の杖を蹴って飛ばした。そして馬なりに乗る。私は魔法はまだまだ全然ですけど、戦う力くらいはあります。

 なにせ私の戦場はリアルなんですからね。


「私、こんな格好してますけど、こっちの方が得意なんデス」


 そう言って私は杖をしまって両手にナイフを出す。それを下にいる彼女にぶっさしていく。なかなかに猟奇的な光景だったと思う。

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