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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ずるい……そう思わないですか?」

「そういわれても……ね」


 そういうのは、この町の領主であるマイオさんだ。今日も今日とて私は日々せかせかと働いてる彼の部隊に紛れて遠征に来てた。もう慣れたものである。そのかいもあって――


「そこは同調しないとでしょマイオ様!」

「そうでっせ! こんな可愛いお嬢が不満をこぼしてくれてるんでっせ!」

「そりゃーずりーよな。うんうん」


 ――と、こんな感じで皆さん既に私がいることに何にも疑問を持ってない。まあただ……


「ほらほら、ちゃんと相手してあげないと愛想つかされちゃいますよ。そこの奴みたいに」

「なんだとテメー! 俺の女房はセツリちゃんみたいに美人でもなんでもねえから後悔なんてしてねえよ!!」


 ――こんな感じでなんか、私とマイオさんがそういう関係だと思われてる事が困る。めっちゃ気を使って私をマイオさんのそばにいさせようとするし……確かにこの中で一番強いのは彼である。私の安全のためってのもあるだろう。


 便乗させてもらってる手前……私からは「違うんですよー」と真っ向から否定できないし……まあ私もマイオさんも違うとは言ってるんだけど照れ隠しと思われてるか、二人とも恥ずかしがってるだけ……みたいな感じに受け取られてる。


 本当にそんなことは全然ないのにね。確かにマイオさんはいい奴だ。苦労人だとも思う。領主なんていう立場なのに、こんな部隊を率いて遠征までしなきゃいけないなんて大変なのに楽しそうだし……いろいろと物資も足りないから何とかかんとか……とブツブツ愚痴を言ってるが、充実してそうではある。


「それで、その協力してくれてる筈のクラスメイトが実は君の思い人に急接近してると?」

「そうなんですよ!」

「よっしゃ! チャンスですよマイオ様!」

「そうだそうだ! 同年代のガキよりも、しっかりとした大人のマイオ様こそお勧めだ!」

「お前ら、うるさい。さっさと片付けろ」

「へいへい」


 私達は今は実は戦闘中である。相手は緑色の体表をしてる小人たち。いわゆるゴブリンという奴らである。ゴブリンはほとんど雑魚だが、数が増えれば厄介になる。微妙に知恵もあるし、道具も使える。稀にだが、人と変わらない思考を持った個体とかも出るらしい。


 そういうのは一気に脅威を高める。まあ私達が相手をしてるのは、ここら一帯で急拡大してる普通のゴブリンの群れだ。きっとスカルロードドラゴンが暴れたせいで、ここら辺の生態系のバランスが崩れたんだろう。色々と前は見かけなかったモンスターとか、前はたくさんいたモンスターが減って違うやつが増えたりしてる。だから町の周辺の脅威を確認するためにも、兵を頻繁に派遣する必要があって、全然人数が足りてないのだ。


 だからわたしや、オウラさんも協力してる。流石に私もゴブリンには遅れはとらない。話しながらも戦闘できる。


「その子は信用できないのかい?」

「信用できないというか……よくわからない? 本当に私に協力してるかも怪しいし……」

「なんだか複雑だね」


 そう言いながらマイオさんはゴブリンを一刀してる。そうなんだよね。女の子の付き合いはとても複雑なのだ。私はこのもやもやをゴブリンたちにぶつけていくよ。

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