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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「失礼するよ」


 そう言って一番先に堂々と入ってくのはこの騎士寮の管理人のおばちゃんの一人だ。流石はこの寮を牛耳る母のうちの一人。まさに勝手知ったるというか、拒否権はないというか……いや普段はこの人たちもこんなことしないと思うがな。

 今は緊急事態だからとても頼りがいがある。俺はまあ、最悪騎士団を追放されてもどうにかなる。プレイヤーだしな。これも一つのイベント……とか思えばいいだけだ。けどアルテミナスにいるNPC達は違うだろう。アルテミナスでは騎士は名誉だ。


 アルテミナスの子供に何になりたいか聞けば、男子は九割がた騎士と答えるだろう。それくらいあこがれが強い職業が騎士である。そんな騎士からもしも辞めさせられたなんて、近所に知られたら……このアルテミナスではもう生きていけない……村八分みたいになるだろう。村じゃないが。


 昨日まで騎士の兄ちゃんかっけーとか言ってた近所の子供が、次の日からは石を投げつけてくるかもしれない。そんなの耐えられないじゃん。まあだから上に直談判なんてのは普通の騎士の人達にとってはリスクが大きい。けど仲間のためにはそのくらいリスクは覚悟の上。


 そして今、俺達には頼りになる味方が付いてる。


「なんのようだ、ここは……」

「おっとここがどこかなんて私が一番よくわかってるよ。それよりも騎士団が大変らしいぞ。聞いといた方がいいんじゃないか?」

「また厄介ごとを持ち込んだかエズ」


 どうやら中には二人いたようだ。一人は中肉中背の黒いスーツ的なものに身を包んだ七三分けの中年。中肉中背だが、なんかピリッとした雰囲気があり、とても目つきが悪い。そしてもう一人が、全身銀色の鎧に身を包んだ騎士だ。背中には赤色のマントを羽織ってる。そしてそのマントには獅子の紋章が精巧にしたためてある。

 あれは……


「第一騎士団団長明けのオズワルド」

「「「大団長殿!!」」」


 俺の声はその姿に目を向いて首を垂れた騎士の奴らの声で聞こえなかっだろう。取り合えず俺もアイリも併せて膝をついて首をたれた。大団長なんてポストは実際ないが、それぞれの騎士団の団長はなんか大団長と呼ばれるらしい。今俺達の目の前にいるのは騎士団の中でも王族の近衛とかを担当する一番実力があるといわれてる第一騎士団の団長様だ。


 はっきり言ってこの人に意見できるのなんて、王様くらいしかいなんじゃね? ってポストの奴だ。前のアイリなら、余裕で言う事聞かせることができた。流石に色々と生まれ変わったLROだが、重要な存在はそのままいる訳で、実はオズワルドの事は俺もアイリも知ってる。


 けど、この……生まれ変わったLROになってからあったのは今、この瞬間が初めてだ。なにせ俺達はもう簡単に城に入る事はかなわないし、オズワルドは近衛の中でも、王様を直接守る立場の奴だ。城から出るなんてことはほとんどない。


 今の俺達にはまさに雲の上の存在。そんな奴が、どうしてこんなところに? 他の騎士たちは予想外の人物の登場に完全に体も思考も止まってる。無理もない。でもだからこそ、俺達は幸運に恵まれていた。


「厄介ごとってなにさ? 大切なことだろうが。あんたの後輩がピンチなんだよ!」


 それはこの人を伴ってきたっ事だ。第一騎士団団長にも全く物おじせずにおばちゃんはしゃべってる。流石に今の俺が声を掛けたって……な。アイリも同じだろう。だからここはおばちゃんに任せる。それしかない! 

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