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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「回復薬をこっちも頼む!」

「こっちの奴の方が重傷だ! まずはこっちだろう!」


 ベネジュラージャは倒した。けど、俺達の戦いは終わってはなかった。なにせベネジュラージャに洗脳されてた騎士たちは半数近く居たんた。その人たちはベネジュラージャがやられて糸がきれた様に倒れ伏した。そして今も目を覚ます事がない。


 騎士だからって全員が前に出てやる訳じゃない。騎士の中でもそれぞれ役割を決めてる筈だが、どっかのバカ……この場合はこの編成をしたあのバカな指揮官のせいで魔法を使える奴もいない。騎士だし、勿論アイテムも持ってきてるが、NPCはプレイヤーの様にアイテムボックスを持ってる訳じゃない。


 だから全員の回復薬を合わせた数より俺とアイリが持ってる分の方が多い。それにどうやら洗脳された人たちが目を覚まさないのは、外的要因というよりは多分内的要因だ。回復薬とかでは外傷は直せても心とかはどうしようもない。


 LROは生まれ変わって全てのNPCに心が生まれてる。とんでもない事だが事実だ。だから彼らにも人生がある訳で、皆が必死になるのも当然だ。彼らはただ役目の為だけに騎士なんてやってる訳じゃないし、彼らの関係性だって設定された物じゃない。


 いやある程度はそうかもしれないが、そこで育んできたものは設定だけじゃないはずだ。だからこそ皆の必死さも心に来る。持ってたアイテムは大体使った。けどやっぱり洗脳されてた人たちは目を覚まさない。


「いつまでもここにいる訳にはいきませんよね……」

「でも人数が人数だからな。残ってる俺達だけじゃ運べない」


 そうなのだ。これが四・五人なら、手分けして運ぶことも出来ただろうが、流石に半数近くだと無理がある。なにせここはLROだ。道中にはモンスターだって居る。そのモンスターに対応する人数は確保してないと危険だ。だから身動きがとれない。


「小隊を組んでアルテミナスに救援を求めよう」


 騎士の一人がそういった。確かにそれが現実的だろう。アルテミナスに現状を報告すれば、救助隊を派遣してくれるだろう。多分。普通なら直ぐに寄越してくれると思うが、今のアルテミナスはなかなかに腐ってるからな。大丈夫か不安だ。


 でも他に方法がないのも確かだ。騎士たちは誰を向かわせるか話し合ってる。そこに一人の騎士が来て頭を下げてきた。


「すまないが、君たちも小隊に編成させてくれないか? 君たちの力はわかってる。頼りになると思ってるんだ」


 この騎士の人はとても誠実だった。まさに騎士という職業を体現してる。他の人達もちゃんと俺達を仲間だと思ってくれてるようで、嬉しい。いきなり参加させられて誰だこいつら状態だったが、強敵との死線を超えて絆が生まれたみたいだ。


 まあだから助かって欲しい。俺的にはそんなにかかわりがあるNPCじゃないが、アルテミナスを支える仲間であることにかわりはない。だから俺とアイリはアルテミナスへと戻る小隊に加わる事を了承した。

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