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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 炎がグリゴーさんを包み込む。どんどんと彼のHPが減ってくのがみえる。彼の体も焼けてる。


(このままじゃダメだ)


 断末魔を上げながらも剣に力を込め続けるグリゴーさん。本当ならのたうち回りたい筈なのに、洗脳状態じゃそれさえできない。けどこのままじゃ、本当にグリゴーさんを炭にしてしまう。それを望んでる訳じゃない。だから俺は挑戦する。


 それはスキルの出力の調整だ。これまでもめっちゃ気合を入れると、スキルの出力が上がってる感覚はあった。けど、弱く発動するってそうそうない。てかやったことない。でも出来る筈なんだ。強く出来るなら、意図的に弱く出来る筈だし、対象を絞る事だって出来る筈だ。


(炎を自分の一部みたいに、体の延長線上に考える!)


 スキルと自分のコード……それらがこのLROでは全てを構成する要素だとスオウも日鞠の奴も言ってた。あいつらはコードを使えるから、きっとこんな事ももっと簡単に出来るんだろう。でもそういう事は誰にだって出来る様になってるとも言ってたんだ。


 大や小の違いはあれ、プレイヤーは術からずコードを操ってるらしい。そしてLROという世界にプレイヤーはいやがおうにも影響を与えてて、それこそが出来る根拠だ。


 あの二人の様に、特別じゃなくても、こういう程度は出来る様になってる。それは確実なんだ。だから俺は炎を意識して、スキルを今まで以上に意識する。炎と体の接点、そこが一番意思を通しやすい。けどそれを炎の端まで届かせるのは神経を使う。


「ぐうっ!?」


 ちょっと炎を弱くしすぎたら、グリゴーさんが押してきた。やっぱり調整が難しい。なのにクビにまいてる洗脳の要の根だけを焼き切ろうとしてるんだからな……脂汗が出る。ハッキリ言って頭が爆発しそうだ。あんまり持ちそうにない。取り合えず出力をグリゴーさんの首元にだけ集中させる。


 けどそこにだけ威力を集中させたら、最悪首が焼けてぽろっとしちゃうかもしれない。首なんてデリケートなんだ。本当に厄介な……


(焼けろ……)


 俺は首筋に巻き付いてる根を見てそう念じる。ジリジリとそれだけ焼ける様にイメージする。炎自体はグリゴーさん全体を包んでる。けど焼くのはあの根だけだ。繊細なコントロールが必要だ。俺には苦手な事だとわかってる。でもやるんだ! 


 少しずつ根が燃えてるのがわかる。けど、焦って火力を上げればグリゴーさんの首までやける。だからジリジリと……けど少しずつ、グリゴーさんの力が強まってる。グリゴーさんの意思が弱くなってるのかもしれない。このままじゃ不味い。


 俺は彼の事なんて何もしらない……けど……得た情報から俺は言うよ。


「グリゴーさん! 本当にその人が好きなら、洗脳なんかに負ける訳ない筈だ。貴方の気持ちはそんな物か!!」


 俺は自分自身で解いたぞ! だからそんな簡単に負けてもらっちゃ困るんだ。その言葉は届いたのか、グリゴーさんの力が弱まる。そしてそのまま剣から手を離す。もしかして、多少あの根が焼けてるから抵抗もしやすくなってるのか? 


 けど不味い、このままじゃグリゴーさんが俺の炎の範囲から出る。なんとかその前にあの根を……


「うあああああああああああああああああああああああああ!!」


 次の瞬間、そんな叫びと共にグリゴーさんが首に巻き付いてた根を引っ張り切る。自分の意思でそうした。彼は意思で洗脳に打ち勝った。確かに沢山助力した。けど、最後の最後は自身で決めた。やるじゃん。やっぱり大切な人がいるってのは強いらしい。


 俺はちらっとアイリをみる。戦ってるアイリは美しい。

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