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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 血管がはち切れそうな程に俺は精神を高ぶらせる。そうやって俺の激情が洗脳への対抗へとなると勝手に思ったからだ。血管を巡らせて……まあLROは仮想だ。この体に実際に血流が流れてる訳じゃない。でもそんなのは些細な問題だ。


 イメージが大切なんだ。自分の体だと信じる。それをシステムへと伝えていくんだ。自分の事をリアルにイメージして、それを叩きつけて取り戻す。出来るかはわからない。


 実際そんな事じゃないと思う。俺はよくゲームをしてた。だからゲーム脳的に、そんな脳筋なことって正直思う。だが、洗脳を受けたらもうこちら側からなにもできなくなってしまう。そう思ってて、確かにその通りだった。だからこそ、後はアイリに……と任せるしかないと思ってたんだが、そんな事をアイリは許してくれないようだ。


 俺はアイリだけは裏切れない。いや、その信頼とかをなくしたくない。なぜなら……まあそういうことだ。失望なんてされたくない。だからこそ……俺の存在全てをあふれ出させるかのように気合を入れる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 バギバキバキ――と自分の周囲にヒビが入ってく。自分の体の内に自分が小さく収まってるかのように見える空間で、自分は胸の所にいる。考える所は頭なんだし、こういう時はそこにいたりするんじゃ……とかおもったが、俺はどうやら胸の所にいる。

 多分心臓だ。洗脳を受けた時からどんどんと自分の体の支配権を奪われて行くにつれて、俺の感覚はここに押し込まれていった。


 ああそっか、頭は洗脳されてるから心臓なのかもしれない。自分で考えてなんか納得いった。俺を包む外殻でいう心臓にヒビが入ってる。大丈夫なのかと思うが、これはイメージみたいなものだろう。気合をいれていくにつれて、声しか聞こえなかったのに、映像が見えてくる。体を透けるようにして周囲が見えだした。きっと抵抗できてるんだろう。


 そう思う……思う事にする。なにせ操られてるのは自分の体なんだ。一番支配権が強いのは自分自身の筈。それを信じれば……洗脳なんて意味をなさない筈だ!


「ああああああああああああああああああああああああ!!」


 額の血管がきれて、鼻からは何か流れてる様な感覚があった。周囲のヒビはどんどんと広がっていき、そしてついには……その枷が取り除かれる。


 目の前には確かにアイリの姿が見える。フィルターを通したアイリじゃない。この目で見えるアイリだ。俺は息を意識的にする。自分の体を目いっぱい感じる。空気の巡りがわかる。俺は炎を出して武器にへばりついてる泥を燃やす。


「なに!? やめっ!! うきゃああああ!」


 そんな事を言って俺の武器にへばりついてた泥は落ちる。ついでに首筋に刺さってた小さな棘も抜く。これが気っと俺を洗脳状態にしてたんだろう。


「アイリ、ただいま」

「お帰りアギト」


 そういって迎えてくれるアイリ。本当なら今すぐその胸に飛び込むか、抱きしめたい。そのくらい実際疲れてる。ステータスには現れてないが、精神的な疲れってのはあるからな。けどまだこの状況が好転した訳じゃない。俺だけが洗脳を自力で解いたにすぎないだ。だから休むのは、まだちょっと先だ。

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