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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 どうやらおかしくなったのは俺だけじゃないようだ。周囲を見ると、様子がおかしい奴らがちらほら。同じようにきっと頭に変な声が響いてるんだろう。頭を押さえてる所からそうだとわかる。


「アギト? どうかしましたか?」


 アイリが俺達の様子に気づいた。一応泥の奴は他の騎士達が殺気だって見てる。だからアイリはこっちにくる。俺は「来るな!」と叫びたかった。けど、口が思ったようにうごかない。「がっ……ぎっ……」とか言葉にならない声だけが漏れてんそれによって更にアイリは心配そうに近づいてくる。


(殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ)


 その頭がどんどん強く響いてきて、視界が赤く染まってく。握る剣を強く握りしめてるのがわかる。


(やめろ! 来るなアイリ!!)


 必死にそう伝えようとしてるのに、俺の体はまるで俺の体じゃないみたいだった。その時だ。


「貴様等何をやってる! 俺を……俺を守らないか!」


 そういって横やりをいれてきたのは生きてたらしい指揮官だ。やっぱりああいう奴は悪運だけは強いらしい。けど奴が出す癇に障る声が俺達の様に変になった奴らに聞いたようだ。近づいてたアイリに背を向けて指揮官の方をむいた。でも近いのはアイリだ。アイリはどこか不審に思ってる……けどまだ決定打がないからとまどってる。


「洗脳」というキーワードをさっき思いださせたのはアイリだ。だからこそ、その可能性を見出してるのかもしれない。アイリは優秀だ。だから確信に変わりさえすればすぐにでも対策を立てるだろう。だからこそ……


「うがあああああああああああああああああああああああ!!」


 俺は心で抵抗するのをやめた。今の標的は指揮官の奴だ。犠牲とするなら、丁度いい。俺は聖人君主なんかじゃない。自分の大切な人とむかつくゲームのNPC……どっちに犠牲を強いるかなんて考えるまでもない事だ。心の抵抗やめると、動きが変わる。俺は一人だけ走り出して指揮官に近づいていく。


「なんだお前! そうだ貴様はさっき俺を見捨てた奴だな! このまま騎士が出来ると思うなよ! 帰ってたら貴様を打ち首にしてや――」


 俺の剣が指揮官の右肩に食い込んだ。鎧を切り裂き、肉を抉ってるのがわかる。指揮官の奴はこの状況に頭が追いついてない。けどそんなのお構いなしに俺は更に力を籠める。周りは何かに起きたかわかって無い。いきなりの事に動きをとめてる。


「――なあ!? ぁぁ……あああああああああああああああああああああ!! きっさまああああ――ごぷっ」


 指揮官の奴は最後に吠えた。だがそんなのはお構いなしに俺はその体を切り裂いた。右肩から入った剣は左腹までを切りさいて指揮官を絶命させる。致命傷だが、アイテムとか魔法とかあれば、まだ助かっただろう。だがその切り裂かれた体に、他の洗脳状態の騎士達が自分の武器を突き刺していく。


 それはとても狂った光景だった。LROはぐろくない様に血は表現されない様になってるが、そのせいで余計見えるというか……けどこれで俺たちがおかしくなったのは伝わっただろう。後はアイリたちに託すしかない。

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