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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 逃げてく狼型のモンスターは明らかに時折スピードを緩めてる節がある。俺達に常に姿を見せて見失わない様にしてるんだ。これは完全に誘われてるぞ。別段やられたってスキル値とかを多少失うだけだが、NPC達は違う。前のLROではやられたNPCもいつの間にか復活してたし、なんか上手く切り抜けれた……みたいな記憶が補完してあったが、新しく生まれ変わったLROではスオウの意思なのか、NPCはやられたらそれまでだ。


 以前はイベントで死ぬNPCはいたが、それ以外に明確に死を迎えるNPCなんていなかった。けど、今やこの世界のNPC達は全てが自我を持ち行動してる。死を軽く扱えなくなったのかもしれない。プレイヤーよりもNPCに厳しいというね。


 まあだけど、このLROという世界はリアルよりも厳しい世界だ。モンスターは闊歩してるし、発展具合だってリアルよりも遅れてる設定だ。死亡率は決して低くない。NPCがポンポンと死んでたらこの世界のNPCは直ぐに枯渇するだろうと思いきや、そこら辺はなんか調整が入るらしい。


 死んだNPCは戻っては来ないが、全く違うNPCが追加されてる。勿論周囲の記憶とかもなんか修正されてる。死んだ奴の場所に別の存在を割り込ませて極端な人口減少を抑制してるみたいだ。この仕組みに気づいた時、世界が恐ろしいとおもった。


 もしかしたらいつかリアルもこんな事が出来たり……なんてね。流石にそこまで人類はいけないだろう。これが出来るのはLROがバーチャルの世界だからだ。


(でも、変わりが生まれるって言ったってプレイヤーとの記憶は新たな奴は保持しないしな。今であったNPC達は唯一無二なんだ)


 前のNPCと新たに生まれるNPCは同じ場所に収まったとしても色々と差異はある。プレイヤーとの記憶は基本なかった事になる。それに同じ家庭に収まってても職場とかは変わってたりする。年齢とかもそうだな。なんかそこら辺をマザーは考えて調整してるみたいだ。


 騎士とかは危険な職業で名誉と共に死と隣り合わせなのは当たり前だ。けどゲームだからと言って騎士の数が減らないとなると、色々と国としておかしなことになる。だから色々と世界は調整を行ってるんだろう。まあいくら何でもそんな大量に死者がいきなり出るなんて事はそれこそこの前のスカルロードドラゴンの様な災厄でもなければ、後は戦争でもないと起こらないことだ。


「流石に今回の事態はそこまではいかない……よな?」

「何か言いましたかアギト?」

「いや、できれば騎士の皆さんにはあんまり無茶してほしくないなって」

「そうですね。けどそれも難しいでしょう」


 そういってアイリは後ろを見る。後方には馬に乗ってる癖に走ってる俺たちよりも遅い指揮官様が「追えー追えー!」と声を張り上げてる。まあ指揮官のエルフが遅い訳じゃない。リアルなら馬よりも早く走るなんて不可能だが、ここはLROだ。

 身体強化を使えば通常の馬よりも速く走るくらいできる。まあこんなのスオウの奴にとってみれば止まってる様な物だろうが……LROではこのくらいのスピードが基本だ。


 俺たちは誘われてどんどんと渓谷の奥深くに入っていってる。緑が深かった場所からはいつしか緑が消えて枯れ木や枯草、そしてひび割れた大地が顔をのぞかせてる。そして充満する死臭……このさきには絶対にヤバイ奴がいる。なのにそれを全く感じないのか、目の前の獲物だけを見てる指揮官は追う事を強要してくる。


 取り合えずヤバくなった時の生贄はこいつにしよう。俺はそれを決めてウインドウでスキルやらアイテムを確認する。

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