表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1146/2697

1146

「そっちに行ったぞ!」


 隊長格の騎士の声が響く。今、俺達はバトルってる。けどそれは目的のモンスターではない……と思う。あの気さくな騎士エルフの話だと、こっち方面の魔物被害が増えてる等い事だった。そしてそれは多分本当だろう。なにせ今も俺たちは魔物に襲われてる。


 このアルテミナスの回りによくいるタイプの徒党を組んで襲ってくる狼型のモンスターだ。ハッキリ言って俺的には見飽きたといってもいいモンスターだ。の、筈なんだが結構苦戦してる。


「くっ、こいつら!」

「いつもよりも動きが速い? いや、統率が――」

「そもそも見た事ないスキルを使ってくるぞ!」


 なかなかに騎士たちは混乱してる。騎士達だって見飽きたモンスターの筈だ。けどこれだけの混乱をしてるのはあの狼型のモンスターがいつもよりも強いからだ。しかもなんか違う。彼等はどうかは分からないが、俺達プレイヤーにはあのモンスターの名前も見えてる。

 だから確実にいつもここらへんで見るモンスターなのは間違いないと断言できる。けどその名前の横にあまりみない文字がある。その文字は洗という物だ。


 洗濯済み? とかではない。あれは『洗脳』状態の表示だ。つまり、このモンスターたちは洗脳されてるという事だ。


「こいつら洗脳されてるぞ!」

「洗脳!? だからこんな厄介なのか?」


 俺の言葉に騎士の一人が応える。洗脳も色々とあるが、モンスター側の奴は洗脳元に引っ張られる場合が多い。つまり強い奴が洗脳を行えば、洗脳された側も能力の底上げがされるみたいなものだ。かなり厄介な特性だが、洗脳を使うモンスター自体にはそんな強い奴はいないってのが相場だ。


 自身が弱いからこそ、別の相手を乗っ取って自分の身を守る……みたいな行動原理だからな。だから寧ろ弱いモンスターに洗脳されたら寧ろちょっと弱くなる。けど今相手にしてるモンスター共は違う。そもそも十数体を洗脳して、その能力を底上げする力。


 そして乱れない連携を取らせる知性。まあ元々群れで行動するモンスターだからその特性を使ってるだけなのかもしれないが、明らかにカバーとか陽動とか厄介になってる。


 これを行ってる黒幕は多分相当の奴だ。モンスターなのか……それとも……


「アギト」

「わかってる」


 視線で合図してくるアイリ。このままじゃ翻弄されて被害が大きくなってしまう。ここで撤退は不味いだろう。大元を今回の戦力で倒せる……とは思わないが、姿とかだけでも確認しておきたい。だからここは俺達が道を切り開こう。

 

大きな口をあけてくる狼達。その口の中には木の根がうねってる。苦しくないのか? とか思うが、そんなの洗脳状態なら気になんてならないんだろう。五匹くらいの襲い掛かってきたモンスターを俺とアイリはそれぞれの武器で薙ぎ払う。


 更にスキルを使って追い打ちをかけて消し炭にする。カバーなんてさせる暇を与えない。


「前にでます!」


 そんな俺たちの勝手な行動に騎士の隊長格の奴がなんか言ってたが、仕方ない。ここで時間をかけてる場合じゃない。ある程度倒してると、狼型のモンスターが引いていく。これは……


「誘ってる?」


 アイリがそう呟く。確かになんかそんな感じだった。他の騎士たちは何とか追払えた事に安堵してるが、隊長格の騎士は皆のケツを叩くように後を追うように指示する。この隊長大丈夫か? ちゃんとリスクとかわかってて指示してるよな? なんか不安になりながらも、彼が勝手な行動をした俺たちの言葉を聞くわけない。しかも追払えたからどうにかなると思ってるみたいだし……


 俺たちは逃げる狼型のモンスターを追いかける様に走る事になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ