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「決闘だ……」
「はい?」
「嫁の無念を晴らす為に決闘を申し込む!!」
いきなりなんか男女さんがそんな事を言いだした。多分それ程ローレが壊したフィギアが大切だったんだろう。面倒な事になっちゃったじゃん。
「お前な……謝れよ」
「は? なんで私が? そもそも性能が見たいって言ったのはそっちでしょ? 私はこのナイフの性能を見せただけで悪くない。そっちが責任取りなさいよ」
そういって男女さん以外のリーダー達を見るローレ。本当にこいつ誰かに謝るとか大っ嫌いだな。ローレに視線を向けられたチームリーダー達はなんか目を逸らしてるし……いや渋面さんは呆れた様に息を吐いてるけど。
「実行したのはローレだ。決闘でもなんでも後で好きにしろ。それよりも今はテア・レス・テレスに勝つためにこいつらが必要かどうかだ」
「必要な訳がないだろう! 嫁を殺したんだぞ!!」
うーん、なんかもうこの場所を提供してくれてるチームとは確実な確執が出来た気がする。仲間意識吹っ飛んでるぞ。どうすんだよ……
「お前、メノウとか使って戻せないのかよ?」
「アンタだって知ってるでしょ? コード事壊したのよ? 時間巻き戻したって元に戻らないわよ」
「そうだった」
どうやら彼? 彼女を宥める方法はないみたいだ。諦めて話を進めるしかないな。きっと時間が解決してくれるだろう。多分? それか僕たちがこの最後のテア・レス・テレスとのバトルで大活躍とかすれば有耶無耶に出来るかもしれない。
まあ男女さんは既に僕たちを追い出そうとしてるがね。
「そのナイフはどんなシステム的な制約すら貫けるのか?」
「今の見てなかったの? その眼鏡度があってないじゃない?」
「ふん」
そういって眼鏡の位置を合わせる渋面さん。絶対こめかみピクピクしてるよアレ。本当に神経逆なでする返答しか出来ない奴だ。
「貴様は、どれだけの力を解放する気がある?」
渋面さんはその調子を崩さずにそう続ける。どれだけの力……か。やっぱりここにいる人たちはローレの力をある程度は知ってるようだ。まあ前のLROの時と変わらずにローレは召喚士だからな。そしてローレだけはかつての力を取り戻してるってのも周知の事実だ。だからこそのこの質問何だろう。
ようは何体の召喚獣を呼ぶ気があるのか……そういう事だ。召喚獣は破格の強さと性能を持ってる。それこそ局面を左右できる性能だ。
「うーんそれにはまず、私の条件、呑んでくれないとなんとも?」
「それでは困るなローレ。最初に最大数を提示しろ。後でもめたくはない」
「むむむ」
ローレがやっぱりこいつ面倒くさいとか思ってそうな顔してる。言っとくけど、全員お前にそれ思ってるからな。口にはださないけど、僕はそう心の中で呟いとく。そしてまあなんとか話はまとまったよ。向こう側はエリアの三分の一は飲まなかったが五分の一はそれぞれくれる事になった。
後はもしもこちらが勝った時に僕たちもテア・レス・テレスのエリアを貰えるようにもなった。
そしてこちらが出すのはナイフに僕とローレの戦力、召喚獣は四体だ。四体はかなりの数である。最初ローレは二体と渋ってたが、煽られてこの数になった。煽るのは好きでも煽られるのは嫌いなお子様だった。最後まで男女さんは決闘とうるさかったが、それはテア・レス・テレスととのバトルが終わってからになった。
まあ何とかなる……よね。