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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「これを会長が警戒してるのは確実よね。それだけでも、これには価値がある」


 そんな事を言ってローレの奴が僕のナイフのプレゼンしてる。こいつはどこまで値を釣り上げる気なのか。まあ交換条件は値段じゃないんだけどね。譲り渡す気はさらさらないからね。僕もローレも。なんてったってこれは危険な代物だ。野望が強そうなここにいる奴らに譲ったらどんな使い方されるか分かった物じゃない。


「対策だってしてるだろそれ」

「それはそうね。認めてあげる。良くできました♪」

「お前な……」


 おっさんの言葉にローレが茶化す様にそういった。ローレは十代前半くらいの見た目で、おっさんは三十位の見た目だ。そのおっさんがローレに茶化されてるとなんか悲しいよな。姪に振り回されてる親戚みたいだね。いや、僕にはそんな経験ないんだけどね。


 親戚とか見た事ない。そもそもが両親の親とかも見た事ない。寧ろ日鞠の方の家族や親戚との面識が多いくらいだ。


「それの性能は?」

「試してみる?」


 渋面の言葉はもっともだな。確かにあれは会長に刺さったが、それだけじゃどんな物なのか、ここにいる奴らはわかって無いだろう。


「そうね……」


 そういってローレはナイフを持って部屋を見回す。そしてちょうどいい物を見つけたのか、ナイフを投げた。そしてそれが向かったのは僕たちが囲んでる中心にあるテーブルに鎮座してたフィギアだ。大体二十センチくらいの高さのやつだろうか? 可愛いポーズ取ってたそれちサクッとナイフは突き刺さる。

 その瞬間、男女のこの場の提供者が「え?」と漏らした。そして次の瞬間にはそのフィギアが崩壊した。


「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 それはもう建物を揺らす程の絶叫。魂の叫びという奴を僕は聞いたと思う。皆耳を防いでるなか、平然としてたのは渋面くらいだ。


「なっななななななんで!! 破壊不能指定物だぞ!!」


 そういう男女さん。自身のエリアに設置してる物はそんな設定が出来るのだ。エリアバトルする時はそういう制限は解除される。だから大切なもの程、そういう時には収納したりしなきゃいけない。けどただのオブジェクトに見せかけた罠とか戦闘人形とかもあるからね。実はそういうのは平時でも壊せたりはする。


 生中な攻撃で発動とか壊れたりはしないだろうけどね。今さっき崩壊したフィギアは普通のそれこそフィギアだったんだろう。だから壊れたのが男女さんは信じられないんだと思う。普通は壊れないし、破壊不能の物を壊す方法もない訳じゃないが、それはかなり気合を入れないと出来ない事だ。


 だからそんな事をしようとすると流石に止める。でも今のはあまりにも気を抜いた一発だったから止めに入らなかったんだろう。まあエフェクトが妖しいし、油断しすぎだと思うがもしかしたら何か壊れない様な工夫を他にもしてたのかもしれない。


 このチームのフィギアへの愛を考えたらそれもありえなくない。けどそんな体をまさにワナワナと震えさせて消え去ったフィギアでもかき集める様な動作をしてる男女さんにローレは笑顔でいうよ。


「それがこのナイフの凄い所! どんなシステム的な守りを突破して崩壊を起こすのよ」

「なんでこの子を犠牲にしたあああああああ!!」

「そこにあったから?」


 男女さんは血の涙を流しそうな叫びをあげてるのに、ローレの奴はケロッとしてる。本当に良い性格してるよこいつ。

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