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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ふーん、これが……ね」


 僕が最初のテア・レス・テレスとのエリアバトルの後、これをローレに見せた時、あいつはそんな反応をした。ナイフはただのサバイバルナイフの筈だった。少なくとも、僕がオリジンという未知のスキルを付与するまでは。これの不思議な所はなんとオリジンを僕に戻した後もその影響が続いてる――ということだ。


 ナイフの刀身からは常に黒い靄の様な物が出てる。そしてなんとナイフの情報が全て※マークになってバグってしまってる。つまりはこのナイフは、そもそもナイフかどうかも怪しい代物になってしまったという事だ。ナイフの形をしてるが、これが何なのかそれをLRO自身がわかって無い……みたいな? 


 何を言ってるのかわからなくて頭が痛くなってしまうけど、そうなんだからしょうがない。これを一人の胸の内に閉まってくのはちょっと荷が重いから、僕はローレにこれを見せた。いや、真実は向こうから言ってきた。

直接的な言葉じゃなかったけどね。確か――


「何か話す事があるんじゃない?」


 ――て感じだった。こいつ……なんでもお見通しかって思った。まあ戦闘の場面は中継されてたし、間違いではないが……普通だったら僕はこの事を秋徒とかリアルで近い奴らに相談してただろう。流石に今戦ってる日鞠には言わなかっただろうが、ローレは結構優先順位的になかったと思う。


 けど向こうが言ってきたし、建前上同じチームだ。それにオリジンはこいつが持ってるオルガトの力でもある。ならこいつにならいっか――ということでこの事を話した。当然の事だが、このナイフの事は口留めされた。ローレは僕以上にこの現象を面白いと思ったみたいだ。


 それで色々と付与を試してみたりもした。勿論ローレのエリアでだ。まあ結果から言うと大体は失敗した。このナイフと同じようになるのはハッキリ言ってなかった。同じナイフでも試してみたが、何故かナイフは力……この場合はオリジンという力に呑まれて消滅してしまう現象が起きた。


 大体がそうだ。僕はこの謎と化したナイフのコードを見ようとしたんだが……残念ながらこのナイフはコードまでも※になってた。けどあの時は無我夢中で特別な事なんてしてなかったと思う。いや、厳密に言えば出来なかった。


 けど同じようにしてる筈なのに、オリジンの付与はこれ以外にはあと一つにしかできなかった。オルガトとも色々と話して実験して試行錯誤をして出来たのが一つだけだ。それは……まあ、ローレの隠し玉みたいなものだ。僕的にはフラングランにでも付与できれば……と思ったが、それは却下された。

 危険すぎるからね。僕の武器ってほぼこれだけだし、変わりがないから、そんな博打は出来ないのだ。


 色々とわかった事はこのオリジンが付与された物は防御を貫通出来る事と、コード自体を切り裂ける事だ。オリジンが崩壊を招くのはコードを壊してるから……ならこの小さいナイフも似た力を宿してもおかしくはない。ぶっちゃけ、バランス崩しではある。


 けどこれだけだとそうも言えないか? なんたって近づいてブスリやらないといけないし、広範囲に出来る事でもない。けど一対一なら多大な効果を発揮する。そんな代物。


 


 目の前の大チームの中心人物たちがそのナイフを見て喉を鳴らしてる。そして意気揚々とローレは言うよ。


「これがあれば、会長を再び倒す事が出来るわよ?」


 それはあまりには甘美な言葉かもしれない。

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