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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「愚かだと?  我らが愚かだと!!」


 渋面の側近だろう特徴ない彼が怒気を強めて僕を睨んでそういった。いやいや待ってよ。僕じゃない。僕が言った訳じゃないから!? こいつ離れてくれねーかな……ってほんきで思う。めっちゃいい匂いとか温もりが伝わってくるが、そんなのは正直どうでもいい。


 そんな事を思ってどうしようか? と思ってローレの奴を見てると、服をくいくいとしてきた。


「なんだよ? いい加減離れてくれ。邪魔だから」

「なによ、美少女に抱き着かれてする反応じゃないわよ?」


 こういう所がこいつの可愛くない所だな。もっと恥じらいを出す方が僕はキュンキュンする。ちなみに僕たちは小声で話してる。


「いいからどうにかしろよこの状況。お前のせいだぞ」

「だって結局、こいつらわかってないから」


 わかってない。そういうローレ。けどそれを僕も否定する気にはならなかった。何となくだけど、ローレがいう『わかってない』の意味が分かるからだと思う。いや、流石におっさんくらいはわかってそうだが……いやどうだろうか? ここにいる面々、ここ二回の戦いでプライドはかなり壊されただろうが、まだまだその矜持はある様に見える。

 おっさんだって自分たちのチームをここまでにした自負と自身があるだろうし、何よりも仲間を最も信頼してそうなのがおっさんだ。ならわかって無いかもしれない。


「おい、なにイチャイチャしてやがる!!」


 うるせーイチャイチャなんかしてないっての。ローレが離れないだけだ。とか思って特徴のない彼を見ると、何やら顔を赤らめて恥ずかしそうにしてる。どうやら見た目通り純朴なようだ。そんな事を思ってると、ローレの奴が膝を立てて僕の顔にその顔を近づけてくる。何する気だ? とちょっと身構える。すると耳元に唇を持っていきこういった。


「言っちゃいなさい。こいつらの認識の甘さをね」

「はあ」


 何やらため息が出た。何でかはしらん。別に期待なんかしてないから。抑々なんで僕が言わないと行けないんだ? 絶対に怒られるじゃん。けどローレの奴は言う気ないらしいし、周りの人達はこっちの言葉を待ってる。言うしかない。そうしないと進まないんだ。


「えーとですね……とにかくまず最初にこれはローレの奴の言葉で――いたっ」


 自分の安全を確保しようとしたらなんか頬をつねられた。やめろよこいつ。僕は巻き込まれただけだ。とりあえず言いづらい事はさっさと言ってしまおう。


「とにかく、皆さんはまだテア・レス・テレスを会長の事をわかってない。それぞれの隠された戦力とかあいつが把握してない訳ないし、想定してない訳もない。だからそれを出す余裕があるなんて思うのは間違いです。あいつはきっとそれを超える術を用意してるけど、それを出すまでもなく負けてる事実を噛み締めるべきだ」


 言った。言ってやったよ。何やらズガンと来たのか、この場にいた面々が目を見開いてる。誰も何も発しない。けど、次に何を発せられるのか、それが怖い。嫌な沈黙が場を支配してて、聞こえるのはBGMとしてなっている何かのアニメソングだけだった。

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