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僕たちはようやくこの合同チームの中心人物たちが集まってる部屋へと来た。全く、なんか疲れたんですけど? お茶とか出ないのか? まあけど、そんな雰囲気ではない。当然だが、前回とそして今回の戦績のせいで部屋の中はとても重い空気で包まれてる。
「おう、ローレの嬢ちゃんか」
「むさ苦しい顔の上にその顔色が優れないとか最悪ね。顔でも洗ってきたら?」
「貴様!」
ローレの奴の開口一番のセリフに男色艦隊のリーダーであるおっさんの側近である。イケメン王子様が武器に手をかける。この人も相当疲れてる様に見える。まあ二回連続ボロ負けしてるからね。それぞれのチームからも離脱者がそれなりに出てるって噂では聞いてる。
まあけど、その程度じゃ揺るがないだろう。そのくらい大きなチームとは人数が桁違いに多いんだし。それにそういう評判を気にしてる奴らってデカいチームだからって群がってきたような奴らだろう。数合わせ……いや、数増しみたいなものだと勝手に思ってるがどうなんだろうか?
「やめたまえ、ここはそのような諍いの場ではない」
そういったのはローブに身を包んだ枯れ葉の様な渋面だ。何だろうか? なんか油断できない感じをうけるな。ローブには複雑な刺繍がしてあっていかにも何かあります……的な感じを醸し出してるし、その丸めがねの奥の眼光は、穏やかな口調とは違って鋭さがある。
「そうだな、俺は別に気にしてないから気にするな」
「はい」
おっさんの言葉にイケメン王子は下がった。うーん、多分あの渋面さんも大手のチームのリーダーなんだろう。ここには八人くらいのプレイヤーがいる。僕たちを合わせると十人だが、それぞれリーダーと腹心を連れて来てると考えると、四チームの大手チームのリーダーが介してるのか……そう考えると結構凄い場ではある。
てか気になる事がある。リーダーは囲むように配置されたソファーに座ってるのに、腹心共は立ってる。それはつまり、僕も立ってないといけないのでは? イケメン王子が引いたことで、ローレは堂々と開いてたソファーの一つに座る。空気を読まない奴なら、座れるんだろうが、僕は一般人的な感覚の持ち主だ。
そんな事……
「ほら、何やってるのよ? 私達はゲストなのよ? 遠慮なんてする事ないわ」
この野郎……おかげでなんか視線を集めちゃってるじゃん。辞退する事は出来る。けどそれはここでは正解なのだろうか? 確かにこの場に僕たちがいる事自体がおかしい。僕たちはこの頂上決戦の主役じゃないんだしね。まあそもそもこの場に呼ばれたのはローレだけなんだが……
でもここで遠慮するとなんか付け込まれそうな感じもある。なにせここにいるのは上位トップテンに入るチームの中核をなす人物たちだ。どいつらもただ物じゃないだろう。ここは、大胆さが必要な場面かもしれない。
という訳で僕もローレの奴の隣に座る。別段何か言われることはなかった。ただ厳しい視線が突き刺さるだけだ。まあ無視すればいいだろう。席に着いた僕たちに露出の高いメイドさんがドリンクを出してくれる。ありがたい。
もうこのエリアがどんな場所かわかってるから、メイドさんくらいじゃ突っ込まないぞ。僕が緊張をドリンクで潤してると、周囲を見たローレが爆弾投下しやがった。
「揃いも揃って辛気臭い面してるわね」
その瞬間、視線で殺せるんじゃないかって眼光がこっちに振ってくる。完全なとばっちりだろ。責任取れよローレ。僕は無関心を貫いてドリンクをすすり続ける。